交響曲第60番 ハ長調
この作品は、古典派の形式主義的な観点から見る限り、交響曲としての形を全くなしていません。
後の時代であれば、交響詩、交響組曲、もしくは単に組曲というタイトルが付けられるのが妥当と思われます。
タイトルの「迂闊者」(「うっかり者」「薄馬鹿」という邦題も見られます)は、交響曲第59番と同様、
ヴァール一座が演じた演目のタイトルです。
この作品の場合は、その劇音楽として作られたものであることが判明しております。
一つ一つの楽章を無理に分析しようとすると、例えば4楽章は、提示部の第2主題が省略された
ソナタ形式という事になってしまい、あまり意味のあることとも思えません。
この曲の持つ本来の魅力は、19世紀の組曲作品(例えば「胡桃割り人形」)の持つ魅力と共通していると考えています。