https://www.youtube.com/watch?v=OIHkZAAFL0A

孔明が眺めやれば、魏の陣営のまえには三つの青絹の傘が並び、旗にはそれぞれの
姓名が大書されている。中央の、白髪に髯をたくわえた人物は王烽ナある。孔明は、
王烽ェ説得にきたにちがいなく、臨機応変に答えてやろうと思い、「応じよう」と返事を
させた。「丞相が話を聞かれるぞ。」王烽ヘ馬を進めた。二人はそれぞれ腕を組み会釈する。
王烽ェ、「かねてご高名はうけたまわっておったが、今日お目にかかれて幸いである。
貴公は、天下の大勢と己の処すべき道を、わきまえておるはず―」「なのに、いま名分なき
戦いをしかけるとは、いかなることか」「われらには逆賊追討の大義名分がある」
王烽ヘ、日ごろから年の功を売りものにし、弁舌の才を自負していたので、とうとうと
世の道理について長口舌をふるいはじめた。魏は無敵の強国であり、蜀軍が身のほどを
わきまえずに中原攻略を目ざすなら、自滅するほかあるまいという。
臆面もない王烽フ大言に、孔明は冷笑した。そして、逆賊を討伐し漢室を復興させようとする蜀の決意を説くいっぽう、むかし、しばしば曹操軍を大破したときの模様を話して、王烽あざけった。
はじめのうちこそ紅潮していた王烽フ顔も、孔明の反駁がすすむにつれ蒼白になった。だが
王烽燔V獪なふるつわもの、こんどは地位や財産で孔明をつり、魏に帰順させようとした。
孔明は思わず大笑し、声をあらげた。「王烽諱A貴公は富貴をむさぼるためには逆臣・賊徒となり、天下の罪人となっても恥じぬというか。まさか、このわしまで、ともに汚名を末代までのこさせようというのではあるまいな」
王烽ヘ孔明の辱めにたえかねた。おまけに高齢で、行軍中に風邪もひいていた。とつぜん
のどに痰がこみあげて、呼気がつまり、一声あげると馬からころげ落ちて事切れた。
曹真は、王烽ェ孔明にののしり殺されるのを眼のあたりにして、度肝をぬかれ、魏の陣営も
色めきたった。孔明は羽扇をあげて曹真をさすと、「今日のところは待ってやろう。陣を立てなおし、明日、結着をつけようぞ」
映像作品のYouTubeを貼った。諸葛亮孔明は、奇門遁甲術などを使えたらしい。
奇門遁甲(きもんとんこう)は、中国の占術。「式占」の一種である。