否定すれば正義。
しかし、それならあれほどのドイツ、どんどん巻き取られていった事実に完全に反する。
振る弁の激弁、時代とスタイルを共有する。区分けは表層にある。

心情の沸騰、圧倒的な力あり。性的エクスタシーと共通するものあり。神への接近の呪術的陶酔は、古代からの心性儀式狂騒の頂点。

ベートーヴェンは神ではなく、人としての血飛沫、熱情を噴出、人として静かに沈んだ。
その噴出も晩期四重奏の諦観もベートーヴェンに比肩する音楽家は稀。
その噴出を神への同化と信じた天才は振る弁とヒトラーの2人。
心情はしかし、余りに強力、劣情以上に。
自然は心情を含むが、心情に関わりなく定律も乱調も奏でている。
潮騒に耳を傾けることのなかったドイツロマン音楽、深刻劇、ユーモア無しが真骨頂。
トスカニーニこそ潮騒を知る定律、振る弁が乱調。
振る弁の7番は、クレンペラー、メンゲルベルク、ムラビンスキー、35年のトスカニーニにもあるが、自己神性心情につき、一点の境あり。