イギリスほどではないにしても、フランスも完全な階級社会だといってよく、

ひと握りの知識層と大多数を占める労働者層の間には、越えがたい壁が存在する。

おそらく彼には、労働者階級の友人などひとりもいない。

もしかすると、これまでの人生で、まともに会話を交わした経験すらないかもしれない。

彼の国のエリートというのは、そういう人たちなのである。

社会における役割も違う。国の行く末を決めるのはエリートで、

労働者はそういった面倒なことにはかかわらず、

毎日の暮らしのことだけ考えていればいいというコンセンサスが出来上がっている。