TCLとトムソンが11月初めに合意した内容によると、両社のテレビ・DVD事業を
来年前半にも香港に設立する新会社「TCLトムソン・エレクトロニクス」に移管する。
両社の生産・販売拠点だけでなく、開発拠点を含めて新会社の傘下に
関連事業を完全統合するものだ。新会社に対する当初の出資比率は、
TCLの香港上場会社であるTCL国際が67%、トムソンが33%とする方針だ。

ただ、トムソンは新会社の設立後、1年半以内に新会社の株式を
TCL国際の株式に転換する権利を保有しており、株式転換後に新会社は TCL国際が
全額出資する子会社になる。このため、今回の事業統合は 「TCLがトムソンの
テレビ・DVD事業を事実上、買収することになる」 (大手電機メーカー幹部)とみられている。
事業統合で生まれる新会社の 資産総額は4億5,000万ユー口(約576億円)、
年間売上高は約30億ユー口(約3,840億円)に達する見通しだ 。この新会社はTCLが
中国国内で保有する工場のほか、ベトナムやドイツなどの 海外工場を傘下に置く。
また、トムソンがメキシコやポーランド、タイなどで 運営する工場もすべて移管する方針だ。

これにより同社は、ブラウン管や液晶など幅広いテレビを生産・販売することになり、
テレビの出荷台数は年問1,800万台と世界最大のテレピメーカーに躍り出る。

1984年にテレビ市場に参入したTCLは、海外メーカーからの技術導入を積極的に進める一方、
OEM供給を通じて生産台数を急速に増やした。その結果、現在では中国国内で
「王牌」などのブランドで18%のシェアを握っており、同国では
長虹と並んで最大手クラスの存在感を示している。

一方、トムソンは、米GE(ゼネラル・エレクトリヅク)から身売りを重ねてきた
「RCA」ブランドを保有し、米国では12%のシェアを確保している。
また、欧州では8%のシェアを持つ「トムソン」ブランドで事業展開しており、
新会社は世界の各市場で競争力を持つ有名ブランドを収める格好になる。
トムソンのシャルル・デヘリーCEO(最高経営責任者)も「トムソンの営業利益率は
今後上昇する」と指摘し、老舗ながらもRCAブランドで赤字続きだった

米国のテレビ事業を本体の経営から切り離すことに安堵の表情をみせた。