ネットワーク・オン・チップ(NoC)とは?半導体チップの中のネットワークのことです.
チップ内の部品(下図ではタイルと書いてある)をつなぎます.
図:半導体チップのモジュール化. タイル3からタイル7にデータを送っている.

そもそも,どうして部品をタイル状に区切るの?
半導体技術は年々進歩しており,チップは高機能化,大規模化の一途を たどっています.
しかし,チップが複雑になると設計や検証が大変になります.
また,性能の観点から言っても,たくさんの回路をまたぐ長い配線は好ましくあり ません.
そこで,チップ内の部品をタイル状に区切り,ネットワークでつなぐ研究が 始まりました.

どうやってNoC上にアプリケーションを載せるの?まず,各タイルに仕事を割り当てます.
例えば,あるタイルはCPUになるし, 別のタイルはメモリになります.
CPUのタイル,メモリのタイルなど,必要な部品が そろったところで,
これらのタイル同士をつなぎ合わせます.
タイルのつなぎ方が決まったら,今度はデータの流し方を決めます.
さきほどの図ではタイル3がタイル7にデータを送っています.
ある通信路が混んでいたら,別のルートを通る ように流し方を工夫したりします.

具体的な研究内容
タイル同士のつなぎ方,データの流し方には,いろいろな方法があります.
また, 作りたいアプリケーションによってベストな組合せは違います.
効率的なチップ 内ネットワークを考えるのが当グループの研究内容です.
当グループではマルチメディア用途を想定した新しいネットワークを提案し てきました.
また,アプリケーションの特性に合ったネットワークを見つける ため,
NoCシミュレータの研究開発が進められています.

最新の研究動向
現在はワイヤレス3次元積層チップについての研究を行っています.
ワイヤレス3次元積層チップとは,複数のタイルを載せたチップを重ね,
それらのチップ間の通信をワイヤレスで行う方式です.
これによりチップの構成を自由に変えることが可能となります.
また,NoCの他に,スパコンやデータセンター向けのネットワークの研究も行っています.