一方、コンビニとの取引からいち早く手を引き、生き残った企業も存在する。

◎食品と同じく、金沢市に本社を置く◯金沢だ。ロールケーキやチーズケーキなどの

洋菓子の製造販売を手掛けている。かつて同社は洋菓子の他にも、パンを製造していた。

その主な取引先もまた、CKSだった。09年には、◎食品と同様、CKSからの受注に対応した、

設備投資をすべく1億円の借り入れをしている。

だが、この投資は◎食品と同様に不発に終わった。CKS向けは単価が低い上に、

24時間営業に合わせた対応も求められる。そして、CKSからの受注数は縮小していき、

経営が大幅に悪化した。そこで14年に、CKSとの取引からの、撤退を決断。

洋菓子製造事業に、経営資源を集中させた。14年までは大幅な赤字が続いていたが、

直近の5年間は、黒字体質を取り戻している。コンビニとの取引をやめた後、

金沢市の2社の明暗を分けたのは、価格競争に巻き込まれない経営にかじを切れたかどうかだった。
◯金沢は洋菓子事業に集中して以降、売上高そのものは、コンビニとの取引があった頃よりも
減少したが、利益率は大幅に改善した。自社ブランドを生かしたロールケーキ
「金沢百万石ロール」など、付加価値の高い商品を強化する戦略が当たった。

コンビニとの取引はロットが大きく、売上高を大きく増やすことができる。
その半面、24時間営業への対応を強いられるなど運用コストがかさみ、利益を出しにくい。

コンビニの再編が進んだ結果、本部の条件を満たせる、大手に取引先を集約させる傾向もある。

地域密着でブランドを生かした◯金沢の戦略に、メーカーが生き残るヒントがありそうだ。