前期 (2020年3月期) は、サザンのデビュー40周年記念ツアーで
観客動員数が65万人を記録するなど、充実の1年だった。

売上高も過去最高を記録した。だが今期は一転、現在までに
福山雅治のライブなど40以上の公演が中止、もしくは延期を決定。
ミュージカルなど舞台も合わせると、影響を受けた公演は、100以上に上る。

業界全体では、観客動員を減らした形での、ライブ開催も徐々に模索され始めてはいる。
ただ、急激な回復は望めそうにない。ある音楽事務所関係者は
「ライブ観客の動員を、半分に減らすと、(開催のための費用が上回り) 赤字になってしまう。
ネットで 同時生配信を行うなどの施策を打つ必要があるが、前例がなく各社手探りだ」と話す。

アミューズも、サザンの無観客ライブ配信を、6月25日に行った。
また、7月12日にも、星野源の無観客ライブ配信を行うなど、ライブ配信自体には積極的だ。
しかし、会社全体の中止・延期分を補うような打開策には、まだなっていない。

アミューズの営業収入(売上高、2020年3月期は、588億円)の内訳を見ると、
チケット販売などライブ・イベント関連の収入が占める割合は、3割強だ。

ただ、リアルのライブができない中では、会場でのグッズ販売や、チケット抽選時などに
優遇を受けられるファンクラブ会員の数が落ち込む可能性も大きくなる。
イベント収入にファンクラブ・グッズ収入を合計すると、その構成比は、7割を超える。

またアーティスト別に見ても、現状では、上位数組への依存度が高い状況だ。
同社は今2021年3月期の業績予想について「合理的な算定が困難」として非開示にしている。
アミューズ自身、一部アーティストの音楽ライブに依存する収益構造には
危機感を持ち、長年にわたってポートフォリオの拡大に努めてきた。

2010年結成のBABYMETAL(ベビーメタル)など、世界で活躍する新たなスターも生まれている。
またアーティスト以外にも、俳優、タレント、声優、子役、文化人など、
マネジメント対象を幅広く開拓してきた。