「現在の政府の対応の問題は、短期的な対応に目をを奪われ、中長期的な視点での
対策を打っていないことです。その一つの原因は、政府にも専門家会議にも、
リスク・マネジメントの専門家がいないことにあります。リスク・マネジメントには、

『未来予測』の能力に加えて、『創造性=クリエイティビティ』が求められます。過去に、経験の

無い状況において、瞬間的に「これまでに無かった新たな対策」を考えなければならないからです。

もとより、政府の役割は、国民の生命と健康を守るために、目の前の危機に対応することが
第一ですが、同時に、その危機の先に来る未来を見据え、その危機を教訓として、
どのような社会を構築していくかのビジョンを描き、実現していくことも重要な役割です。

これからの時代は、新型コロナウイルス感染症の第二波、第三波が襲来し、さらに、
新たなパンデミックが何度も襲来する時代です。そのことを理解するならば、これから
いかなるパンデミックがやってきても、それに耐えうる社会とは何か、どのようにして
その社会を実現していくか、政府は、明確なビジョンや政策、戦略を描くべきと思います」

日本では、5月に緊急事態宣言が解除され、経済活動が再開されつつある。しかし、いずれ
新たなウイルスによるパンデミックが繰り返される。
つまり、「パンデミックの時代」が到来したといえる。「では、どのようなパンデミックが
襲来しても、持続可能な社会システムとは何か。
それは、いま政府が提唱する『新たな生活様式』などの感染抑制マナーの徹底といった
次元のものでも、検査体制や医療体制を整備するといった次元のものでもありません。

それは、政治や行政、経済や経営、社会や地域、文化や教育など、
すべての分野において、いかなるパンデミックが襲来してもその機能が維持できる
『新たなパラダイム』への転換を成し遂げた社会のことです」