このモジュール方法でEV用バッテリーを構築するのには、複数の理由がある。

セルが小さいほど単位重量あたりのエネルギーが多くなる。また、バッテリーを
簡単に追加または削除することで、さまざまな航続距離と価格帯のEVを提供できる。

最も重要なのは、個々のバッテリーをソフトウェアで制御できるので、
電力の流れとバッテリーの寿命を最大限に延ばし、エネルギーの安定供給が可能である。

このモジュラーシステムは、膨大な量の電力を貯蔵し展開できる。
典型的な携帯電話用バッテリーは3.7ボルトで動作する。
VWのMEB EVプラットフォームのバッテリーパックは、最大408ボルトで動作する。

これにより『ID.4 EV』はモーターに十分なエネルギーを供給するだけでなく、
暖房や空調を含むすべての内部アクセサリーに電力を供給することができる。

一方でバッテリー電源にはいくつかの欠点が存在している。

EVは液体燃料車両ほど多くのエネルギーは貯蔵できない。そのため航続距離が短くなってしまう。
これを家庭用電源で再充電するには、数時間は掛かってしまう。オプションとして
急速充電器を利用することは可能だが、毎日急速充電を繰り返すとセルを劣化させてしまう。

またバッテリーはEVの中で最も高価なコンポーネントでもある。
そこでVWグループでは、固体リチウムバッテリーのコンセプトで
バッテリー技術をイノベーションするスタートアップ企業であるQuantumScape社と共に、
これらの課題解決に向けた取組みを開始している。

今日、ほとんどのリチウムイオン電池は、電解質に液体またはゲルのどちらかを使用している。
固体電解質は理論的には、通常使用下における充電時間が短く、
単位重量あたりのエネルギーをより多く保持でき、低コストで製造できる。

VWは2012年以来、このQuantumScapeに約3億ドルを投資している。
今後数年間で、その成果として得られたテクノロジーを市場に投入することを目標としている。