それからしばらくの間、山田はひどく機嫌が悪かった。
普段は山田の部屋に入り込んで仕事の邪魔をしているナナ&ナナ・ツーも遠慮して近寄らず、
家令のエンガワの頭に登って仕事を邪魔していた。

そんなある日、王国環境庁から山田に書状が届いた。
野生動植物を保護するための新しい法律が創設され、保護指定種を決定する科学委員会が
発足することになった。その委員に山田を任命するというのである。

その法律の名は、「特定第二種王国内希少野生動植物種」制度という。
この法律は従来の「王国内の絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」
通称「王国種の保存法」を補完するもので、簡単に言うとオークションでの希少な生物の
販売を禁止することに特化したかのような法律である。

この法律の指定種となった場合、第一種の希少動植物種のように捕獲・採集が規制
されることは無いのだが、販売することは許されない。そのため衆人環視で行われる
オークション取引には、出品することがほぼ不可能になる。

昨年度に実施は閣議決定済だったが、まだ施行されてはおらず、具体的な規制種の指定は
今後時間をかけて順次決定されていく予定であった。
その決定内容について討議・検討するのが山田の仕事というわけである。

次回「その24」
*この物語はフィクションであり、実在する人物・組織・法律などとは以下略