次にこれとは別に、世の中にはたくさんの言語があり、それぞれの言語も自身を構成する
「音の素」という世界地図を《それぞれ》作り上げている。
その音の素をベースにして境界線を引いた国家を表す記号が「音素記号」であり、「//」で
囲って表現される。
ここでベースとなる「世界」は上で書いた「音声」の世界と同じものなんだけど、「音素」の
世界では国境線の引き方が違っている。

大きな違いを挙げると、音声の世界における複数の国家がまとまって、1つの国家を形成して
いる場合があるという点。
例を挙げると、「日本語音素」という世界では、音声世界の[m]や[n]、[ŋ]、[ɴ]、[ ̃]という
国家をまたがった、/ɴ/という名前の共和制国家があり、英語音素という世界では
音声世界の[r]や[ɹ]、[ɾ]という国家をまたがった/r/という名前の合衆国がある。
さらに英語音素の世界では音声世界の[ɜ][ɐ]という国家をまたがっているにも関わらず、
名前が/ʌ/という変態国家もある(これは歴史上のある時点で[ʌ]にあたる場所も領土で、
そこが首都だったんだけど、首都が中舌地方に遷都された後、[ʌ]の地は寂れ、名前だけが
残ったと考えられる)。
なお音素の世界では、「その言語で使用しない発音」、すなわち「未開の地」が存在し、
その扱いは近隣諸国に併合されるケースが多い。

なお、世界中のどの言語の音素世界を見ても、音声世界の国を分断するような国家は
存在していない、、、はず(そういうのがあれば、音声の世界を管理するIPAはそれぞれの
国家を独立させているはず)。