○音声表記と音素表記について
音声表記は言語音を文字で表記したものです。音声表記は記号を[ ]でくくって記述します。
音声表記に使われる記号が国際音声記号であり発音方法が定められています。

音素表記とは言語音の認識を表記したものです。音素表記は記号を/ /でくくって記述します。
音素表記に使われる記号は言語ごとに慣例的におおむね決まっています。

音声表記と音素表記は混同されることが少なくありません。表記は似ていますが[a]と/a/は明確に違うのです。


○音素について
音素はひとつの言語のなかで「同じ音」と認識される音声の集まりです。
人間はいろいろな音を発音できますが、それらの音をひとつの言語のなかでグループ分けするのです。
鏡で自分の口を見ながら「れんあい」、「かんぺき」、「よんだい」と発音してみてください。
それぞれの「ん」の発音が違うことがわかるでしょう。しかし発音が違いますが「ん」と認識してはいるのです。
よってそれらの音声は「ん」というグループに入ると考えることができます。
その音のグループが音素です。研究にもよりますが、日本語の音素は24個くらいで英語の音素は45個くらいです。

音素はある言語において語の意味を弁別する最小の単位でもあります。
音素は音声によって作られる単語の部品のようなものでもあると考えてください。音素が並べば単語の部品が並び単語でき文ができます。
「簡易」は「か」+「ん」+「い」の音からできています。そして「か」は「か行」+「あ」の音からできています。逆に「か」は「か行」+「あ」の音に分割できるとも言えます。
しかし「か行」、「あ」、「ん」、「い」をさらに分割することはできません。この音を分割できない状態が最小の単位となります。
簡易の音素は/kaɴi/です。/k/+/a/+/ɴ/+/i/からできていて、/k/が「か行」、/a/が「あ」、/ɴ/が「ん」、/i/が「い」です。
この/k/を/s/に変えましょう。/s/は「さ行」です。「か行」が「さ行」になるため「さ」+「ん」+「い」の音になり、「三位」/saɴi/の単語になったと考えることができます。
音素を変えることで単語が変わり、単語が変わることで意味も変わります。これが語の意味を弁別するということです。