イエメン内戦、混迷極まる=過激さ増す武装組織―サウジ・イラン「代理戦争」
12/5(火) 16:44配信 時事通信
 【カイロ時事】内戦が続くイエメンで、隣国サウジアラビアを後ろ盾とするハディ暫定政権に対抗していた反政府勢力が内紛に陥り、混迷が深まっている。
 サウジと敵対するイスラム教シーア派系武装組織フーシ派は4日、反旗を翻してサウジとの対話を志向したサレハ前大統領を「裏切り者」として殺害した。
フーシ派はサウジへのミサイル発射を繰り返し、サウジと連携するアラブ首長国連邦(UAE)も標的にすると警告。一段と過激さを増している。
 イエメンでは、シーア派大国イランが支援するフーシ派を打倒するため、スンニ派のサウジが主導する連合軍が2015年に軍事介入。
ただ、犠牲者は既に約1万人に達し、サウジとイランの「代理戦争」は泥沼化している。感染症のコレラ流行や食料不足なども重なり、「世界最悪の人道危機」(国連)に陥っている。 

イエメン前大統領殺害、和平模索に打撃 反政府派が基盤強化か
12/5(火) 12:01配信 CNN.co.jp
イエメン・サヌア(CNN) イエメンの前大統領が首都サヌアから脱出する途中で反政府武装組織「フーシ」によって殺害されたことを受け、サウジとイランの代理戦争の様相を呈しているイエメンの内戦は、サレハ氏の死によって、一層激化する可能性もある。
イエメン情勢に詳しいシンクタンク欧州外交評議会のアダム・バロン氏は、「これでフーシがイエメンでの権力基盤を完全に固める態勢ができるかもしれず、和平合意実現の可能性は薄れる」と指摘した。
サウジ内戦を巡って国連などは、交渉を通じた和平合意を模索してきた。フーシと連携してきたサレハ氏がサウジ側と連携すれば、事態打開に向けた突破口が開ける可能性もあった。
しかし、これがきっかけとなってサヌア市内では激しい戦闘が発生。住民によれば、特にこの2日間は市内全域で市街戦や爆発が相次ぎ、病院や学校も閉鎖されていた。
赤十字国際委員会によると、この戦闘による死者は過去5日間で確認されただけでも125人、負傷者は238人に上っている。
サヌア市内の病院は、国境封鎖の影響で物資が底を尽きかけており、赤十字は燃料などの緊急支援物資の供給を試みている。
国連の人道問題調整官は4日の声明で、現地時間の5日午前10時から午後4時までの「人道停戦」を呼びかけた。
フーシの幹部によると、サレハ氏を乗せた車は、フーシが占拠する首都サヌア南部の検問所で銃撃され、同氏と側近数人が死亡した。
サヌアにあるサレハ氏の自宅は2日以上にわたってフーシに包囲され、同氏は身の安全のため、出身地のサンハンへ脱出しようとしていた。