続き

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 玉木執行部が発足して1カ月が過ぎ、党内では党運営の面でも玉木氏の指導力に疑問を唱える声も上がる。
その一つが、希望の党が「友党」に位置づけた民進党への過度な配慮だ。

 党関係者は玉木執行部の方針に不満を隠せない様子でこう切り捨てる。

 「玉木氏は決断し切れず、他党に遠慮しているから、立憲民主党に比べて地方組織の整備が遅れている。
資金難は両党とも事情は同じだから言い訳にならない」

 玉木執行部の民進党への配慮の一つが、
1日の役員会で古川元久幹事長(52)名で配布された「地方組織(都道府県連)について(案)」と題された一枚紙だ。

 地方組織構築の方針について「柔軟に都道府県を代表する仕組みについて立ち上げていただきたい。
その際、友好関係にある政党には十分配慮されたい」と記された。

 指針はその後改定されたようだが、玉木執行部は地方組織の構築について「中央から方針は押しつけない。
地方の実態を踏まえて大きな塊を作ってほしい」と柔軟な姿勢を示したままだ。
裏を返せば民進党との連携を模索し、党運営を独自に行えないことを意味しているかのようだ。

 立憲民主党は18日時点で北海道や東京、愛知、大阪など9都道府県で地方組織を設立しており、完全に後れを取った。

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 12月の産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の合同世論調査で、希望の党の支持率は2・3%に低迷した。
結党直後の10月に9・5%を記録して以降、一貫して下落している。他の報道機関が10〜12月に実施した世論調査をみても、
上昇に転じた調査は一つもないというありさまだ。時事通信の12月調査に至っては0・9%で、ついに1%を切った。
一方の立憲民主党は12月の産経・FNNで13・9%を記録し、支持率の差は際立つばかりだ。

 玉木氏は「支持率が低いから逆に気にせず何でもできる」と周囲に語る。
しかし、支持率の低迷こそが指導力を発揮できない要因の一つに挙げられるのではないか。

 来年1月召集の通常国会に向けて、玉木執行部は平成30年度予算案の精査など入念に準備を整える。
しかし、結党メンバーが党の「レゾンデートル」(存在意義)に位置づける安全保障や憲法問題については一枚岩ではない。
日本維新の会との統一会派結成に前向きな保守系議員もいる一方、
共同代表選で玉木氏との一騎打ちに敗れた大串博志衆院議員(52)は選挙戦で「9条改憲は不要」と明言した。
大串氏は14票(玉木氏は39票)を集めており、無視できない一定の勢力となっていることで、統一した政策を打ち出しにくい事情があるのだろう。

 次の焦点は民進党が呼びかける方針の「統一会派」結成にどう対応するかだ。党内はこの野党連携でも意見が分かれる。

 大串氏は民進党再結集を念頭に党内外で独自に連携を深めている。
結党メンバーの一部は民進党を敬遠し、日本維新の会との連携を志す。
民進党や同党に籍を残す議員で構成する衆院の「無所属の会」との連携を果たすのであれば、
玉木氏が党内批判を恐れずに希望の党の政策を覆さずに連携できるか。玉木氏の胆力が問われている。