★蹄が薄いジェンティル「何とか状態保たせる」
 ジェンティルドンナの蹄はゴールドシップとは対照的に「装蹄師泣かせといえるかな」と西内氏は語る。
「(父の)ディープインパクトもそうだった」というように蹄が薄く、通常、くぎで固定する蹄鉄がつけにくい。
くぎを使わず、特殊な接着剤を使うエクイロックスを使用していて、「今回も両前脚はエクイロックス。ラストランなので、何とか蹄の状態を保たせて送り出したい」と万全のケアを施す構えだ。
http://race.sanspo.com/smp/keiba/news/20141225/ope14122504060024-s.html

ディープインパクトだけでなく、ジェンティルも西内荘のお陰で走り続けられた

86年、装蹄したメジロデュレンが菊花賞(G1)優勝(30歳)。
これを機に数々の名馬を装蹄することに。
「当時、担当馬は30頭しかいなかった。かわいがって頂いていた浅見国一先生から『(池江)泰郎、こいつに担当させてやれよ』と言ってもらったうちの1頭が、メジロデュレンだった。」
また同年、装蹄師北米大会に出場。定期的に現地に赴き、技術の進歩している米国の装蹄師と交流を深め、日本で初めて新しい装蹄技術を持ち帰る。
爪が薄く、釘での装蹄が難しい馬のための接着装蹄(エクイロックス)について20年間、試行錯誤を繰り返す。

05年、ディープインパクト(04〜06年)が日本ダービーに挑む際、爪の薄かった同馬に緩衝材のシューライナーを貼り、
特殊な接着剤のエクイロックスで蹄鉄を蹄に装着する新技術を導入する。
2000年代前半から実験的にレースなどで試していたが、G1でのエクイロックス(接着装蹄)は同馬が初めて。
「装蹄師として一番になりたい!、という気持ち以上に日本の競馬界を変えたい。もっと良くしていきたいという気持ちでした。
現地のエージェントさんにお願いをして、積極的に営業活動をしました。」
 
現在、エクイロックスの技術は、接着するだけなら(装蹄師なら)誰でも出来るほど普及してきたが、きっちり扱うことが出来る装蹄師はごく僅か。
この技術に改良を加え、競走馬としての素質がありながら、蹄葉炎など蹄の病気で走ることのできない馬の治療法にも採用。
多くの競走馬の未来を救っている。また、競走馬になる前の馬を見るために牧場に赴き、蹄を削って馬の癖を直していくのも西内の仕事のひとつである。