ビジネスホテルチェーンに勤める中野良晴さん(仮名・32歳)は、客室に置いてある“ある備品”について「ヘンな使い方をしているお客さんが増えている」と話す。
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「それは電気ケトルです。水を温めてお湯にするのが本来の用途ですけど、なぜか調理器具として使うお客さんが増えているんです」

 実は、電気ポットや電気ケトルを利用した調理法は、インターネットのレシピサイトに数多く紹介されている。確認してみたところ、ゆでたまごのような単純なものだけでなく、煮物や茶碗蒸し、パウンドケーキといった多種多様なメニューのレシピまである。

「レシピが公開されいること自体は別にいいと思うんです。でも、問題はそれをホテルの備品である電気ケトルで使うこと。
百歩譲って料理に使ったとしてもまだちゃんと洗ってくれていればいいんです。しかし、なかには調理に使ったまま放ったらかしにされていたケースが何度もありました。

 この場合、客室清掃のパートの方がポットの洗浄を行うのですが、調理に使った汚れは脂やぬめりがあって軽く水洗いする程度じゃ落ちないんです。
そこで時間が割かれてしまうため、結果的にルームクリーニングの作業全体が遅れることに繋がるわけです。こういうことは言いたくありませんが、本当に迷惑です」

 実際に中野さんが確認したのは、インスタントラーメンやうどん、パスタを茹でるのに使用されたケース。麺などがポット内に残っていたという。

「ただし、この程度ならこちらも問題にはしません。許せないのは電気ケトルを容器代わりにして食べている宿泊客がいたこと。ただし、もっと驚いたのは電気ケトルを使ってしゃぶしゃぶをしている人がいたこと。
ゴミ箱にはスーパーで売っているお肉用のパックが捨てられていて、お湯が残っていたケトルの内側をのぞくと肉カスと白菜が浮いていました。けど、一番ひどかったのはキムチ鍋に使われていたときですね。
『洗っても臭いが残っている』とのことだったので、予備の電気ケトルと交換することになりました」