アベさんはお隣にこれまで控えていたアソウ
さんを見てこう言いました。
「貴方の言われたことは正しいですね」
「ああ、私がいざとなればぶん殴ってでもっ
って言ったことだな」
本当は上品だとのことですがあえてワルぶっ
ている独特の口調でお話するアソウさんです。
「あのことだな」
「それもですね」
「そりゃそうしたことはない、しないに越し
たことはないさ」
アソウさんもこうしたことは最初かわかって
いるのです。

「けれどな」
「最悪の事態を考えてですね」
「いつもそうしたことは考えていかないと駄
目だろ」
日之本家の会社の経営やお家の安全のことを
任されているならというのです。
「やっぱりな」
「だからですね」
「ああ、やっぱりな」
何といってもというのです。
「最悪変なことをした奴はな」
「捕まえますね」
アベさんのお顔が一層真剣なものになりまし
た。