この日、注目されたのは被告の一人であるN氏が陳述をおこない、全面的な謝罪を表明したことだった。
紺のスーツに身を包んだN氏は一礼して法廷に入ると、裁判長に促されて、用意した陳述書を読み上げた。
以下はN氏の陳述である。
まず、原告および、その場に居合わせた方々、そして差別的な言動によって人権を侵害してしまった不特定多数の在日コリアンの方々に、心からお詫びします。

私は2011年3月以降に「行動する保守運動」に参加するようになりました。このことは誤りであり、過ちであったと考えています。特に、デモ行進や街頭宣伝、
SNSなどにおいて在日コリアンの方々に投げかけた差別的言動や、行動保守に対する反対勢力の方々をすべて在日コリアンと思う、または決め付けて、
さらなる暴言を吐いたことや、一方的に暴力を加えたことについては、紛れもない差別であり、取り返しのつかないことをしてしまったと反省しています。いまでも、
そのことを思い出さない日々はありません。

なぜ、あのようなことを差別発言をしてしまったのか。インターネット上では在日コリアンにばかり向けられた悪意のあるデマを真に受けてしまい、いま思うと、カルト宗教に
傾倒してしまったような状態でした。私は、原告の請求原因の認否を争う趣旨ではありません。私は正業についていますが、原告が請求する金額を一括で支払いできる
資力がありません。しかし、できることならば分割払いで支払いを最後まで完了したいと考えています。

本当に申し訳ございませんでした。

緊張しているのであろう。表情は硬く、時おり声も震えていた。
しかし、自らが働いた暴行のみならず、「差別的言動」にも言及したことは注目に値する。
N氏は、「差別」に向かわせたものが、ネット上の「悪意のあるデマ」と「家族の言動」だとしたうえで、行動保守の運動を「カルト宗教」にたとえた。

『行動保守に対する反対勢力の方々をすべて在日コリアンと思う、または決め付けて、さらなる暴言を吐いた』
https://www.targma.jp/yasuda/2016/08/26/post558/