日本の方言区画は本土方言と琉球方言の2大方言に分 かれるが, 九州方言と琉球方言が共通点を持つことは早 く から指摘されてきた。
『日本言語地図』 のサクマイ (う るち米), ヤキモノ (瀬戸物), コショー (唐辛子) やな どの分布を見ても九州方言の, 特に南部は琉球方言との 連続性があることがわかる。
また, 「よもぎ (蓬)」 の分 布図では「フッ系」 の「フッ, フトゥ, フッ, フチゥ [ utsi], プチ, プチバー」 などが九州のほとんどと, 宮 古諸島を除く奄美 ・沖縄に分布する。
表現に関しては断 定辞に当たるとこ ろが現われない傾向が九州と琉球に共 通する。
アクセ ント の分布では, 西南部九州のアクセ ン
トは 「語声調」 であり, 琉球方言につながるという捉え 方が早田輝洋氏により発表された。
さらに, 柴田武氏の 宮崎県の一部と鹿児島県 ・沖系電県の人の発音には強い呼 気の伴うという指摘もある。
九州方言には多様性があり, 束西と南北, 旧藩領ごと 谷ごと細かい地域差がある。
九州方言の音声の特徴として1中舌母音 2 オ列長音 の開合 3 ガ行音 4 破裂音の前鼻音
5 カ行音の有声 化 6 前鼻音と有声化 7 唇音化 8 エ段音の口蓋化 9 四つ仮名
10イントネーションについて具体的に取り 上げた。
い く つかについて簡単に触れる。
[al]に由来する[e:], [oil [ui]に由来する[i:]がトカラ 列島の子宝 ・宝島や宮崎県高千穂町にある。
[e] は奄美 大島, 徳之島, 喜界島と八重山の波照間島にも有る。
日 高貢一郎氏は連母音に由来す る中舌の 「e は, 九州以南 の方言にしか聞かれない」 と指摘する。
こ れは先述の語 の分布, 表現, アクセントなどにおける九州と琉球との 連続性指摘への追加というべきものである。