【BAN祭り主犯】けーざい(@keezay)を倒そうぜ Part3
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見上げると、白色の大きなドラゴンが仰向けになって両手でオレを抱いていた。 白色ドラゴンの指の鋭い爪が視界に入り、オレはぞくりと寒気がしてぷるっと震える。 オレは白色ドラゴンの腕の中で手足をバタバタさせて暴れた。 まだクリスタルが青白く輝いているので、オレはクリスタルをそっと握り締めた。 不思議と安心して落ち着き、大丈夫だと教えてくれている様な気がした。 白色のドラゴンが身体をよじって、呆れたように大きな首を横に振る。 「やれやれ。無暗にオーヴを使い過ぎだ、マスターよ。お前は疲労の限界がきているはずだ、少し 気持ち良さそうに両翼を羽ばたかせて、大きな滝から離れ、白色ドラゴンは川沿いをゆっくりと 飛んでゆく。 その時、オレの眼下に川岸に寄せられてうつ伏せに倒れているミサが目に入る。 ミサの傍にはホバーボードが裏返って火花が散っている。 川岸の樹の影から現れた一人の黒装束が肩に掛けたマシンガンを構えてミサにゆっくりと近づいてゆく。 「お、おい! 下ろしてくれ! ミサを助けないと!」 肘が痺れてびりびりして、オレは痛みで肘を押さえて呻いた。 「倒れているあの子かい? ちょっと様子を見ようじゃないか」 黒装束の男がミサを肩に担ぎ、ホバーボードを脇に挟んで、黒装束は旋回している白色のドラゴンを仰ぐ。 黒装束は顔が黒いフードで覆われ、口許も黒い布で覆っているため、性別がわからず、表情も見えない。 やがて黒装束はミサを肩に担ぎ直して歩き出し 、奥の樹の影に消えた。 白色のドラゴンが旋回をやめて羽ばたき、森の奥を見つめている。 「ふむ。近くに野営地があるみたいだね、テントが幾つか張ってある。そこの連中みたいだ、あの子を攫った奴は。どうするんだい?」 白色のドラゴンが欠伸をして火を噴いた後、オレに訊いてきた。 白色のドラゴンの視線の先に野営地があり、テントが幾つか張ってあった。 野営地から白煙が昇って、風に乗っていい匂いがオレの鼻腔をくすぐる。 そういえば、腹が減ったな。ミサが持ってきた菓子、全部食ったしな。 ミサの奴、本当はネロとのデートで食うつもりだったんだろうけど。 オレはお腹を擦るが、腹の虫は食いものをよこせと鳴き続ける。 それにしても、こんなところに開けた場所があるなんて。 そうだ。あいつらに訊いてみよう、ラウル古代遺跡のこと。何か知ってるはずだ。 白色のドラゴンはオレを摘まんで、顔の前までオレを持ってくる。 「ワタシは反対だね。マスターの疲労が酷い。今野営地に行ったって死ぬだけさ。ワタシとお前で攻めるつもりかい? 冗談じゃないよ。敵の数が多い。よく考えな」 白色ドラゴンは眉根を寄せて口を結び、白色ドラゴンの鼻息がオレに飛んでくる。 白色ドラゴンの声が子守唄の様に、波の様に揺らいで聞こえる。 「オーヴを使ったにしちゃ、よく身体が持ったほうだ。大したもんだよ」 どこか大きなテントの中で、頑丈な檻の中に閉じ込められているのか画面が左右に揺れる。 テントの入り口からちらっと外が見えて、黒装束がライフルを肩に担いで通り過ぎる。 ネロは檻を背に片足の膝を曲げて檻に凭れて座り込み、片足の膝を曲げた膝の上に腕を載せている。 やがて黒縁メガネをゆっくり外して、ジャケットの内ポケットから取り出した布でメガネのレンズを拭いている。 ネロはジャケットの内ポケットに布を突っ込み、黒縁メガネを片手で掛ける。 『ボクとしたことが油断した。ミサの魔法が消えて、敵の野営地に落ちるとは。カイト、お前が頼りだ』 ネロは顔を上げて後ろ頭を檻に凭れ、物思いに耽って何故か鼻で笑った。 女は髪が雪の様に白いミディアムヘアで肩に髪がかかるくらい。 整った目鼻立ちで、瞳は吸い込まれそうなサファイアブルー。 耳に蒼い滴の形をした透明なクリスタルのピアスを付けて、風でピアスが小さく揺れている。 服は長袖の青コットンのロリータクラシックドレスで黒いショートブーツを履いている。 女はオレの顔を不思議そうに覗き込み、両手を腰に当てて不気味に歯を見せて笑った。 「うわっ!」
オレは驚いて慌てて上半身を起こす。葉っぱデザインの薄い毛布がオレの上半身からずり落ちる。 どうやら、オレは大きな切り株の上で寝ていたらしい。木の香りがする。振り向くと木の枕がある。 なんだ、この枕。不思議に思い木の枕を人差指で触ってみると、意外にふわふわで柔らかい。 人差指を離すと風船の様にゆっくりと膨らんで面白い。 その時、頭痛がしてオレは顔をしかめて額を手で押さえる。 女は腕の前で両手を組み、勝ち誇ったように仁王立ちして喉の奥で笑っている。 「オーヴに選ばれし者にしては、まだまだ力の使い方がなっておらんの。お前はあれから二時間も気を失っておったんじゃ。無理もないわい」 オレ額を手で押さえて顔をしかめながら女を睨み据える。 女は馬鹿にしたように胸の前で両手を組んだまま、鼻と喉を鳴らして笑う。 「……白いドラゴンか? お前、人間に姿を変えたのか? 冗談だろ」 頭痛が治まり、オレは切り株の上に胡坐をかいて、太ももの上に肘を突いて頬杖を突き鼻で笑う。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています