「えっ!」と驚く人が多いかもしれない。昨今の日本は「孤独のすすめ」「孤独のグルメ」「ソロ活」「ぼっち」など、
孤独をポジティブにとらえる書籍や論調であふれかえっている。「どうせ、死ぬときは一人」「孤独を楽しめ」
「一人で生きていく強さを身に着けるべき」といった考え方に共感する人も少なくない。

孤独とは本来、「頼りになる人や心の通じ合う人がなく、ひとりぼっちで、寂しいこと(さま)」を意味する。つまり、
「孤」(=みなしご)のように、誰にも頼ることができず、精神的に「孤・立」し、苦痛を覚える状態を指すわけだ。しかし、
日本では「独・立」して「独・自」の時間を過ごすこと、積極的に一人の時間を楽しむことが、孤独ととらえられている節もあるようだ。

権威ある多くの研究が、孤独がうつ病や、心臓病や認知症などを含む精神的・肉体的な病気のリスクを高めると結論付けている。
アメリカでは、孤独のリスクは
〈1〉1日にタバコ15本を吸うことに匹敵する
〈2〉アルコール中毒であることに匹敵する
〈3〉運動をしないことよりも高い〈4〉肥満の2倍高い――という研究結果もある。

それだけではない。「孤独は冠動脈性の心疾患リスクを29%上げ、心臓発作のリスクを32%上昇させる」「孤独度が高い人が
アルツハイマーになるリスクは、低い人の2.1倍」「社会的なつながりを持つ人は、持たない人に比べて、早期死亡リスクが50%低下する」など、
健康への負の影響を示す研究結果が欧米で次々と発表されている。

http://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20180214-OYT8T50017.html