一度きりの上映 ★★★★★

実質的なラストを飾るのは、『休日ダイヤ』を彷彿とさせるスローで軽快なポップナンバー。
とにかく歌詞が素晴らしい。
移り変わっていく冬の景色、廃れた映画館、そしてヒトの人生それらを『一度きりの上映』と表してしまうセンス。
「知られざる傑作かもしれない」と歌っているが、ラストの描写がちょっぴり切ない。
静かな大名曲。


Epilogue ~ 街から町へ ~
かなり短めのインスト(?)なので評価はなし。
『パレードはなぜ急ぐ』のリズムトラックに街のSEと、兄のファルセットが重なる曲。
まあ、これがあっても無くても名盤には変わりなしなので、特に気にはならなかった。
余談だが、初めてこのアルバムを聴いたのが車の中だったので、クラクションのSEにビビった。



総評 ★★★★★

『キリンジ』の兄、堀込高樹によるソロアルバム。
『冬』をテーマにしたアルバムで、メロディ、サウンドは兄らしく洗練されているが、今作で特に素晴らしいのは冬にしか見られない美しい景色や、正月の人々の暮らしを丁寧に切り取った歌詞だろう。
サウンドとの相性も抜群で、全てにおいて完成度が高いと言って良いかもしれない。
若干鼻にかかった兄のボーカルですらこの作品にはピッタリ合っている。この時期にぜひ聴いて欲しい大名盤である。