4,月曜日消失★★★★☆
ここに来て妖しさが最高潮に。
まとわりつくような湿気はベース由来で、煮え切らない音が微かに響いている。実はここまでの曲でもそうだったのだが、歌詞の意味を汲もうとしてもビーチの白い砂粒のように手からサラサラとこぼれ落ちてしまい、そのことでますます底知れなさを感じる。というのがオチであろう。長距離電話が遠い町を震わせる、「君」はたった一夜にして別人になった…

5,昏睡クラブ ★★★★★
今作の「動」部分を請け負うナンバーで、1と同様に変拍子が多用されたり、ドラムが暴れ回ったりと目まぐるしく展開していく。1,3,4に存在した密室的な雰囲気がここにきて爆発し、身の危険を感じるかのようなスリルを味わえる。この静と動の使い方はどっちかというとホラー?含みを残すかのようにフェードアウトして次の曲へ。

6,ヨーロッパ ★★★★★
この曲が好きになれるかどうかでこのバンドが本質的に好きになれるかどうかが決まるとも言える踏み絵的な(使い方間違ってたらごめんなさい)曲。今作の中でもテンポがかなりゆっくりで、その分ボーカルの声が堪能できるのだが、ねっとりとしていて、飴玉を舐めるかのようにゆっくりと浸食されていく雰囲気で、これを受け入れる必要がある。閉鎖的で冷たくドロドロとした雰囲気は2番が終わると同時に消え、そこからは長い長いポエトリーリーディングに入る。一曲の中で歌と語りの両方を行うミュージカルのようなこの器用さが、まさにこのバンドの真骨頂であったりする。窓を開けたかのように開放的な気分を胸に、アルバムは終了する。

総評★★★★★
3ピースバンドPeople In The Boxの2ndEP。1曲目を聴いて得た底知れない雰囲気をかき回していくかのように展開される独自の世界観にハマると病みつきになる一枚。2を除けば曲の音は全体的にひんやりとしていて夏に聴くと心地よく、晩秋〜冬に聴くと雰囲気が出る。(レビュー主は秋にサブスクで視聴して冬にCD買いました)

30分未満の短いアルバムなので気軽に聴きやすく、レビュー主がおすすめするアルバムのうちの一つである。

タイトル「Bird Hotel」に対してジャケット水槽の熱帯魚とはこれいかに…しかも羽を休めて聞けるかといえばそうでもないし…