Day1の感想です。

MCで盛んに繰り返された「今日(わたし)変?」という杏里さんの言葉が、この日の杏里さんを物語っていたと思います。
杏里さんのテンションは、明らかに違って見えました(問いかけられた森田さんは「いつも通り」と返していましたが...)。
やっとライブができた喜び、ここに来るまでの不安や重圧から解放された脱力感、この状況でも集まった人たちへの感謝、それを伝えきれないもどかしさ…
いろんな思いが交錯して制御しきれない、そんな風に感じました。

その溢れんばかりの思いを抱えながら、しかし、歌自体はほぼ乱れることなく、しっかり聴かせてくれました。他の方も指摘している通り、声の調子はとても良く、終始安定していたと思います。
全セトリの大半でピアノを弾く(ピアノから離れたのはハンドマイクの2曲とピアニカを使った「風の記憶」だけ)という、ワンマンとしては杏里さんに歌以外の負担がかなりある状況で、これは嬉しい驚きでした。
何より、これまで何度か失敗もし、聴く側としても常にハラハラしながら聴いていた”難曲”「Hello Goodbye&Hello」を完璧に歌い切ったのが、その証明でしょう。
ライブでのベストテイクといえるこのパフォーマンス、後に出るであろうDVD(特典か単体かは分かりませんが)に是非収録してほしいものです。

セトリに関しては、ニューアルバム(の中でアコースティック向きの曲)を軸に組むだろうという自分の予想を裏切り、旧曲、しかも定番曲を避けた地味な構成でした。なので、聴く方により評価は分かれるかもしれません(自分的には「僕らのあり方」「時の列車」「風の記憶」等、好みの曲があったので、好評価)。

そして(それ以上に)、終盤の2曲の選択が素晴らしかった。
クリスマスライブでハプニング的に起こって以来、一時は会場一体で歌うのが定番だった「羽」。
そして「(今のこの状況は)途中だから!また皆に会いたいから!」と心の底から絞り出すような一言の後の「生きかけとして」。
杏里さんがこの日伝えたかった思いが、この2曲に集約されていたように思います。ニューアルバムの曲を敢えて外してでも、今伝えたかったことが。
”終わり良ければ全て良し”、まさにそう思える2曲でした。