【北京=藤本欣也】中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報(電子版)は27日、中国当局が拘束を続けている2人の日本人について、中国の国家機密を盗んだ重大な容疑があり、国家安全法と反スパイ法違反の疑いで取り調べを受けていると報じた。

 報道によると、2人は千葉県船橋市の「日本地下探査」と、中国遼寧省大連市の「大連和源温泉開発公司」の各責任者。「2人のノートパソコンやUSBメモリーなどから約80点の地図を含む大量の機密資料が見つかった」「過去10年間で30回以上、不法な測量活動に従事している」などと報じられた。

 中国当局は山東省と海南省で3人ずつ拘束していたが、両責任者のみ拘束を解かなかったことになる。

 今回の事件と類似性が指摘されていたのが、2010年9月、準大手ゼネコン「フジタ」(東京都渋谷区)の社員4人が河北省石家荘市で拘束された事件だ。4人は軍事管理区域に許可なく立ち入ったとして拘束された。

 このうち3人は10日後に解放されたが、もう1人は「なお取り調べが必要」(中国外務省報道官)として拘束が継続され、それから9日後に解放された。

 その際、「人質」を残すことで、先に解放された3人の口封じを狙ったとの見方も取り沙汰された。

 今回は、2人の容疑が「国家安全法と反スパイ法違反」であると初めて明らかにされ、拘束が長期化する可能性も出てきた。

 中国では2人を含め少なくとも8人の日本人がスパイ行為の疑いなどで拘束されたままだ。中国側が民間人拘束を“外交カード”として利用する恐れもあり、北京の日本大使館は在留邦人に「軍事施設の撮影や無許可での測量、地質調査」に関し注意を促している。

http://www.sankei.com/world/news/170727/wor1707270042-n1.html
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