文在寅(ムン・ジェイン)大統領は30日、7日間の日程で夏休みに入った。もともと29日に出発する予定だったが、28日夜の北朝鮮による大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射で一日遅らせたものだ。野党など一部からは「北朝鮮がICBMを発射したのに夏休みを取るのか」という批判も出た。しかし、大統領府関係者は「大統領が予定通り夏休みを取らなければ、国民がいっそう不安がる。北朝鮮のミサイル発射兆候に関する事実は2日前の26日に把握していた」と述べた。

 文大統領は同日午前、金正淑(キム・ジョンスク)夫人と一緒に専用ヘリコプターに乗って夏休みで江原道平昌に向かった。朱英訓(チュ・ヨンフン)大統領警護室長や宋仁培(ソン・インベ)第1付属秘書官らが同行したという。文大統領は平昌冬季五輪のスキージャンプ台などを見て回り、関係者を激励した後、アルペンシア・リゾートで1泊した。尹永燦(ユン・ヨンチャン)国民疎通首席秘書官は「文大統領は平昌冬季五輪が国内外で多くの関心を持たれるようにと平昌を夏休みの訪問地に選んだ」とした。同秘書官はその上で、「文大統領は、北朝鮮の慈江道舞坪里で発射が行われるとの報告を26日に受けていた。ミサイル発射後に行われた韓米間の一連の対応措置は、ミサイル発射の事実を知らなかったとしたら準備不可能な内容だった」と語った。

 大統領府の説明通りなら、北朝鮮がミサイルを発射するということを認識していながら、27日に文大統領の夏休みの予定を担当記者たちに事前記者会見し、28日には終末高高度防衛ミサイル(THAAD)用地すべてに対して一般環境影響評価を実施すると決めたことになる。大統領府は北朝鮮のICBM発射を「予想」していたが、国防部はその16時間前にTHAAD砲台の年内配備を不可能にする発表をしていたというのだ。また、合同参謀本部は27日、「北朝鮮のミサイル発射が迫っているという兆候はない」という記者会見もしていた。このため、二日前に北朝鮮のミサイル発射兆候を把握していたという大統領府の説明はつじつまが合わないとの指摘もある。大統領府は、北朝鮮がミサイルを発射したのを受け、29日に「文大統領の夏休みは保留になった」と一時発表した。

文大統領は31日から慶尚南道鎮海郡の休養施設に移動し、外部との接触を断った状態で残りの夏休みを過ごす。尹首席秘書官は「鎮海では国政運営のため特別な構想を練るというよりも、散歩をしたり、ただひたすらゆっくり休んだりする予定だ。同郡の休養施設で休暇を過ごすのは、北朝鮮のミサイル発射など緊急状況でも関連内容の報告を迅速に受け、テレビ会議などで軍統帥権者としての指揮権を行使するのに最適の場所だとの判断があったから」と語った。さらに、夏休み中に文大統領が海軍基地を視察する予定もあることが分かった。しかし、朴槿恵(パク・クネ)前大統領が就任後初めての夏休みで訪れた鎮海に近い猪島の休養施設には行かないとのことだ。文大統領は今回の夏休みを有給休暇で取った。文大統領の今年の有休休暇は合計21日間だ。

 文大統領と大統領府のこうした説明に対して、国会情報委員長を務める保守系最大野党「自由韓国党」のイ・チョルウ最高委員は本紙の電話取材に「北朝鮮がICBM発射に成功したと見なさなけらばならない状況で大統領が夏休みを取るのは、やや安易な行動だと思われる」と言った。保守系野党「正しい政党」の李恵薫(イ・ヘフン)代表は「文大統領が夏休みを少し延期していたら国民はもっと安心できたのに…と思うと残念だ」と語った。正しい政党は同日の論評で、「歴代の大統領たちは状況に応じて休暇期間中も官邸にとどまっていた」と述べた。金大中(キム・デジュン)元大統領はアジア通貨危機が発生した1998年に就任して1年目の夏休みを取っていない。盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領も2007年に韓国人がアフガニスタンで拉致された事件が発生したため、夏休みを取り消している。李明博(イ・ミョンバク)元大統領は2011年、日本による独島(日本名:竹島)領有権主張問題や中部地方の豪雨対応で夏休みを延期した。朴槿恵(パク・クネ)前大統領も2014年のセウォル号沈没事故や15年の中東呼吸器症候群(MERS)問題で夏休み期間中、官邸にとどまっていた。

黄大振(ファン・デジン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版


http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/07/31/2017073101010.html
記事入力 : 2017/07/31 10:10