微小な粒子状の大気汚染物質である「PM2・5」による死者が過去25年で大幅に増加し、2015年には世界で420万人に上ったとの推計を国際チームがまとめ、英医学誌ランセットに発表した。

 PM2・5による大気汚染は、15年時点で世界の死亡リスク要因の第5位となり、対策が求められるとしている。

 PM2・5は、直径が髪の毛の太さの30分の1程度と非常に小さな粒子。主に燃料の燃焼に伴って自動車や工場などから大気中に排出され、長期間さらされると、心筋梗塞や肺がん、呼吸器疾患などのリスクが増す。

 チームは、世界195カ国について死亡や障害の要因となった病気やけがの割合などを調べた「世界疾病負担研究2015」のデータや衛星、地上の計測データを基に、1990〜2015年のPM2・5による影響を推計した。

 その結果、PM2・5が引き起こす健康被害による死者は1990年には350万人だったが、2015年には420万人に増加した。これは世界で15年に死亡した人の7・6%に当たる。

 死者数が増えた原因は汚染の深刻化だけでなく、アジア地域の人口増と高齢化の影響が大きいという。

 420万人の59%に当たる250万人は南アジア、東アジアで占められている。国別で死者数が多いのは中国(111万人)、インド(109万人)、ロシア、パキスタン(以上14万人)など。

 世界の死亡リスク要因の順位を見ると、第1位は高血圧。それに喫煙、高血糖、高コレステロールが続き、この粒子状物質大気汚染は5位。10位には固体燃料による屋内空気汚染が入っており、吸い込む空気の健康影響の大きさが示された。

http://www.sankei.com/life/news/170801/lif1708010013-n1.html
http://www.sankei.com/life/news/170801/lif1708010013-n2.html