欧州と東アジアを最短距離で結ぶ北極海航路を利用した船舶が年内に北海道に寄港し、貨物を運び込む方向で調整が進んでいることが分かった。

新航路として注目される北極海航路だが、日本向け貨物輸送での利用は低調。国土交通省によると、実現すれば同航路を経て北海道に貨物が運ばれる初のケースとなる。日欧間の新たな物流ルートの本格利用に向けた突破口となる可能性がある。

貨物船を運航するのは、中国の海運最大手・中国遠洋海運集団。同社傘下の中遠海運特種運輸の欧州航路責任者、趙英男氏が時事通信の取材に対し、欧州から中国に向かう貨物船が12月までに苫小牧港へ欧州産の農作物を輸送する可能性が高いと明らかにした。

日本は北極海航路の活用に向け、ロシアなど沿岸国と協力。一方、北海道は経済効果を期待して、官民挙げて寄港を誘致してきた。

趙氏は北極海航路の利点について、「南回りに比べて、航海日数を15日程度短縮でき、燃料費の削減が期待できる」と強調。「海賊や台風による被害も避けられる」と指摘した。

貨物船は、北欧産の木材やパルプを中国に運び、欧州へは中国の鋼材や風力発電設備など重量貨物を輸送するという。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2017080401143&;g=eco