水筒に欠陥があるため、ふたが外れて生後7カ月の長男が熱湯を浴び、やけどによる後遺症が両足に残ったとして、愛知県弥富市の両親が長男の代理として、水筒を輸入販売した家具販売「ニトリ」(札幌市)を相手取り、約1千万円の損害賠償を求めて名古屋地裁に提訴した。7月18日付。

 訴状や原告側代理人などによると、水筒は黒色で容量500ミリリットルのステンレス製。

 2015年3月、自宅にいた母親が外出しようと、ミルク用に沸かした熱湯を水筒に入れ、ふたを閉めた状態で床に置いた。着替えのため目を離すと、長男の悲鳴が聞こえ、駆けつけると倒れた水筒のふたが外れて、長男に熱湯がかかっていた。

 長男は救急搬送されて入院したが、両足にやけどの重傷を負い、色素沈着や、やけど痕が残るなどの後遺症がある。退院後も自宅看護が必要で、通院を余儀なくされたという。

 ニトリや消費者庁によると、水筒は、本体とふたを接続するネジのような部分に一部、不良があった。本体側とふた側の円状突起部分を合わせた幅は0・45ミリ以上で設計されたが、実際には0・1ミリ程度のところがあるなど短かったため、ふたが外れやすくなっていた。

 同社は事故を受けて同じ商品の販売を中止。当時の調べでは、販売数量は約1万7千個だった。水漏れはほかに5件程度が確認されたが、重大事故はこの1件だけだった。

 今回の事故には部分的不良以外にも複数の要因があるとして、リコール(無料の回収・修理)はしなかった。

 水筒は中国製でニトリが輸入し、同社店舗で販売。両親は事故の2年ほど前に東京の店舗で購入した。

 同社は両親との示談交渉で和解金として500万円を提示したが、両親はこれを不服として提訴に踏み切ったという。

 原告側代理人は「長男のやけどの痕は回復が難しく、成長するにつれ悪化する可能性もある」と話した。

 ニトリ広報は「一部の製造不良によって事故が起きたのは事実。真摯(しんし)に受け止めて対応したい」とコメントしている。

 ニトリは1967年に「似鳥家具店」として札幌市で創業。社名変更を経て02年、東証一部に上場した。家具や家電、インテリア小物など、住まいに関する商品を幅広く販売しており、全国で400店以上を展開している。

(中日新聞)

http://www.chunichi.co.jp/s/article/2017080590085756.html