「火星−14型」の発射成功は北朝鮮が米国本土を攻撃できる大陸間弾道ミサイル(ICBM)に近付いたということを知らせる瞬間だった。過去27年間、北核交渉にも参加し、政策も立てて北朝鮮を研究した人として深い自己恥辱感を感じる。

北朝鮮がICBMを開発する時までいったい我々は何をしてきたのだろうか。韓国は北朝鮮の能力を過小評価して南北関係を優先する傾向がある。北朝鮮の初めての核実験当時、米国の敵対政策のせいで自衛用という立場が韓国の最高指導者の口から出たこともある。

韓国は北朝鮮が生き残りのために核兵器を開発していると判断し、解決のためには北朝鮮に生き残りのための環境を作ることが重要だという認識を持ってきた。

ところで、北朝鮮体制が生き残るためには「最低限の抑止力」だけを持っていれば良いはずだが、明らかに北朝鮮の最近の動向はそれをはるかに超えている。

北朝鮮のICBM開発は米国の韓国防衛の放棄を誘導する仕組みとなっている。北朝鮮が米本土を攻撃できる能力を備える瞬間、米国は韓国を助けるためにサンフランシスコ・ロサンゼルスをあきらめる覚悟をしなければならない。

韓国と米国の安全をつなげる拡張抑制力の信頼性問題が提起される。北朝鮮のICBMによって韓国の安全と米国の間にいわゆる、デカップリング(decoupling)に直面することになった。米本土を脅威する北朝鮮のICBMは韓国にとって悪夢だ。

過去65年間、韓国の安全を守ってきた韓米安保態勢のパラダイムの変化を意味する。交渉が行われるといってもICBMを放棄する代価として北朝鮮は核保有を黙認され、米朝平和協定を要求するだろう。韓半島で北朝鮮の核独占が固定される可能性がある。

北核脅威に直面している今、必要なのは外交より国民を守ることができる圧倒的抑止力だ。核は核で防ぐことが常識だ。北朝鮮のICBMに対応して米国の核傘の信頼性を強化するのが至急だ。北朝鮮の核挑発の際、米国が自動的に核報復に出るという点を明確にすることだ。

戦術核を再導入しようという主張もあるが、防御兵器の配備も韓国政治的に厳しい中で、群山(クンサン)に再配備することができるか疑問だ。

1980年代中盤、ソ連の新型核ミサイルの配備で米国と北大西洋条約機構(NATO)同盟国の間に核傘の信頼性に関する深刻な論争が巻き起こった。NATO同盟国は米国の「パーシング−2」とクルーズミサイルを配備して核傘の信頼性を強化したことがある。

現在の韓半島(朝鮮半島)と周辺海域には事実上、米国の核兵器がない。韓国を守るためには米本土の戦略核を活用しなければならない構造だ。核兵器を搭載した米潜水艦を東海(日本名・日本海)に配備して領域内核抑止力として活用する案を考える必要がある。

同様な脅威に置かれている日本と協力して原子力潜水艦を韓日米共同管理の下で核傘の信頼性を強化しようということだ。

先制攻撃ドクトリンから抜け出して国民を守るミサイル防衛(MD)も早急に構築しなければならない。

韓国軍が17兆ウォン(約1兆6781億円)を投じて構築しようとする「キルチェーン」は挑発の兆候がある際、先制攻撃して核ミサイルを除去し、発射された少数のミサイルは韓国型ミサイル防衛(KMD)を通じて迎撃するということだ。

民主主義のリーダーシップが挑発兆候があるからといって大規模の先制攻撃という決断を下すことができるだろうか。さらに、核を保有した相手に対して在来式戦力で先制攻撃するという未曾有の状況を想定している。核武装国家には抑止力が働くという常識に外れる。

北朝鮮もキルチェーンを無力化するために移動発射台、潜水艦発射、固体燃料の使用などそれなりの戦力を構築している。キルチェーンが配備される前に無用の長物にならないか懸念されている。

ミサイル防衛に対する否定的談論は国防力のゆがみをもたらした。

http://japanese.joins.com/article/088/232088.html
http://japanese.joins.com/article/089/232089.html

>>2以降に続く)