韓国映画界における性的暴行、人権侵害に対する問題提起が本格化している。8日午前、映画界・女性界・法曹界の約10団体が弁護士・法律諮問教授など13人と共に「それは演出でなく暴力だ」と題する記者会見を行った。

「映画監督キム・ギドク事件共同対策委員会」が主催したこの日の記者会見には、女性映画人会、全国映画産業労働組合、韓国性暴行相談所、韓国女性民友会、韓国女性児童人権センター、民主社会のための弁護士会などが参加した。

「映画監督キム・ギドク事件」は2013年に映画『メビウス』にキャスティングされた女優Aさんがキム・ギドク監督を先月ソウル中央地方検察庁に告訴した事件だ。

8日、共同対策委は「Aさんは2013年3月に行われた撮影過程で、キム・ギドク監督に頬を数回叩かれ、シナリオにはない性的行為を強要された」と明らかにした。精神的な衝撃で撮影に最後まで参加できず、結局映画から降板したという主張だ。

映画は女優を新たにキャスティングして完成され、ヴェネツィア国際映画祭にも進出する作品となった。4年間、さまざまな団体に相談したAさんは、ことし1月、全国映画産業労働組合の苦情相談サイト「映画人申聞鼓」に事例を掲載した。これを契機に各界団体と個人が集まった共同対策委員会が構成され、検察への告訴につながった。

これについて、キム・ギドク監督は今月3日に立場を表明し、「(横っ面を叩いたのは)撮影しながらこの程度すれば良いと実演を示す過程で起きたことで、正確には思い出せない」とし「いかなる場合でも、演出者の立場で映画の事実性を高めようと集中する中で起きた状況。多くのスタッフが見ている中で、個人的な感情は全くなかった」と明らかにした。

まだ検察による調査は始まっていないが、映画界を中心にこのような慣行を正そうという声が高まっている。今回の事件と同じような事例が相次いでいるためだ。

昨年のいわゆる「俳優A」事件では、相手女優が事前に打ち合わせのあった内容とは違い、撮影過程で性的暴行を受けたとして俳優Aを告訴した。また、最近では女優と監督の間に露出場面の削除を巡り法的攻防が起きたばかりだ。

8日の記者会見で、全国映画産業労働組合のアン・ビョンホ委員長は「俳優A事件に続き、今回のキム・ギドク事件でも、映画を作る仕事が曖昧に認識されていることに気づいた」とし「映画製作中に暴行・強要が発生しても映画の完成度・作品性の後ろに隠されてしまう」と指摘した。

また、女性映画団体「チンヌンペミ」のパク・ジェスン代表は「なぜ女優や他の製作スタッフは(作品に)どんな行為が出てきてどのように演出されるのか知らないまま撮影に入らなくてはならないのか」とし「権威的な製作環境のせいで、数多くの女優と女性映画関係者が受けた性的暴行が覆い隠された」と主張した。

相次いで事件が表沙汰になったことで、性的暴行と人権侵害に関する事例集めが本格化している。映画振興委員会と女性映画人会などは、俳優だけでなく撮影スタッフまで範囲を広げて人権侵害の事例、特に性的暴行被害事例を調べている。「映画産業内の性暴行実態調査」は5月に始まり、今月15日に第1次調査が締め切られる。

女性学専門家5人、映画関係者3人が参加して質問・面接調査を進めている。映画振興委員会公正環境造成センターのハン・インチョル・チーム長は「当初は300人を対象に始めた調査だが、最終的に600人まで調査対象が増えた」とし「映画界従事者の被害が予想より広範囲かつ深刻であることが分かる」と伝えた。

このような実態調査は、単に女優と女性製作スタッフに限らないものとみられる。女性映画人会関係者は「性的暴行実態調査として始めたが、暴言・暴行などの人権問題まで、様々な事例の届け出があり、調査を進めている」と明らかにした。

実際、ことし1月には映画『他の道がある(ANOTHER WAY)』に参加した女優が自殺をしようとするシーンで、リアルな演技を追及するという名目下で実際の練炭ガスを吸ったことが問題になり、俳優の人権問題が大きくクローズアップされた。

http://japanese.joins.com/article/170/232170.html

>>2以降に続く)