北朝鮮が7−8日に公式メディアや関連組織を総動員し、韓国と国際社会に向かって、爆弾発言を発した。「ソウルを火の海に」だけでなく、「実際の行動」「物理力行使」といった挑発を予告するような発言があったほか、暴言も多かった。

6日に国連安全保障理事会が満場一致で採択した対北朝鮮制裁に関する決議2371号に強く反発したものだが、今回は対応速度に早く、内容もエスカレートした。

北朝鮮問題専門家と韓国政府当局者は「国際社会の圧力が金正恩(キム・ジョンウン)氏を焦らせている。今後の大規模な軍事的挑発の予告編である可能性もある」との見方を示した。

■北朝鮮メディアの暴言リレー

朝鮮労働党機関紙、労働新聞は8日付1面に3つの声明を掲載した。上から前日発表された「共和国政府声明」、同日発表された「朝鮮アジア太平洋委員会報道官声明」と「民族和解協議会報道官声明」だ。いずれも国連安保理決議2371号に全面的に反発する内容だ。

同紙は安保理決議採択の原因になった核・ミサイル挑発には一言も触れず、決議の採択を主導した米国とそれに同調した国際社会に「狂ったやり方」「醜悪な姿」などといった暴言を吐いた。

特にアジア太平洋委報道官声明は「凶悪な強盗の米国が主導しでっち上げた犯罪的文書だ」とし、「それを履行しろというらっぱを吹いても、月に吠える犬の声ほどにも思わない」「正義の力で不法、無法な制裁決議に断固打ち破っていく」と主張。

また、「我が軍隊と人民による実際の正義の行動が伴う」「非常に強化された総合的な軍事力を総動員し、物理的行使を伴う戦略的措置が取られることになろう」と脅しをかけた。

対韓国宣伝機関である民族和解協議会の声明は、国連安保理決議を歓迎した韓国政府の態度に触れ、「みだりに汚い口をきいている」「狂った振る舞いを見せている」などと批判した。

韓国外交部(省に相当)の康京和(カン・ギョンファ)長官が国連安保理決議について、「評価し感謝する」と述べたことに触れたくだりでは、康長官の名前に蔑称まで付けた。

■挫折感の表れか挑発予告か

北朝鮮は過去にも国連安保理の制裁決議が採択されるたびにさまざまな声明を通じ、不満を表明してきたが、今回は対応速度が過去に比べ早く、エスカレートしたと受け止められている。

統一研究院のチョ・ハンボム上級研究委員は「北朝鮮に新たな措置が効いている証拠だ」と述べた。一部からは決議に原油供給禁止条項が含まれなかったことをめぐり、「期待に満たない」との評価も聞かれるが、

北朝鮮の主力輸出品目である石炭、鉄鉱石、水産物の輸出を全面禁止し、北朝鮮の労働者の海外追加派遣を認めないとする内容は北朝鮮にはかなりの打撃になるとの見方だ。

西江大の金載千(キム・ジェチョン)教授は「中国とロシアに期待したが、安保理制裁が採択されてしまい、今回のASEAN地域フォーラム(ARF)でASEAN各国にまで背を向けられ、背信と挫折を感じたようだ」と評した。

韓国政府は北朝鮮の激しい反発が大規模な軍事的挑発の序曲となる可能性を注視している。

北朝鮮が7日に発表した「共和国政府声明」はこれまでで7回目、金正恩・労働党委員長による政権掌握後では4回目となり、過去には声明直後に北朝鮮が軍事的緊張を高める傾向があった。

北朝鮮は2015年6月、南北関係改善の意思を盛り込んだ政府声明を発表したが、2カ月後に西部前線で「木箱地雷」による挑発に及び、昨年1月6日に北朝鮮が水爆実験だと主張する4回目の核実験が成功したという内容の政府声明を発表してから1カ月後、長距離ミサイルを発射した。

今回の政府声明も追加的な核実験や大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射など戦略的挑発に向けた名分づくりである可能性もある。労働新聞が8日、「8月危機説は本当に目の前の現実として展開される」と脅し、朝鮮中央通信が「ソウルが火の海になる」と言及したこともそうした見方を裏付ける。

北朝鮮は韓国への脅迫と軍事挑発を続け、韓国内部での「南南対立」と韓米同盟のほころびが生じることを狙っているとみられる。

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/08/09/2017080900718.html

>>2以降に続く)