ドル円は110円台で推移したものの、北朝鮮リスクが高まったとの見方に円を買う動きが優勢に。ドルのじり安が続き110円25銭まで売られる。ユーロドルも下落。ユーロ円の利益確定する動きもあり、1.1715までドル買いユーロ売りが進む。

株式市場は反落。北朝鮮の強気の姿勢に対して、トランプ大統領が警告を発したことで地政学的リスクが高まった。ダウは33ドル下げ、11営業日ぶりに下落。債券相場は下落。朝方は売られたものの、地政学的リスクが高まったことで下げ幅を縮小。金利は2.26%台へと上昇。金と原油はともに下落。

ドル円は110円台を維持しているものの再び上値が重くなり、昨日は北朝鮮に対するリスクが高まってきたとの見方が「リスク回避」を誘い、円買い、債券買いさらには株式売りと、教科書通りのリスクオフが進みました。ドル円は110円台前半まで売られ、連日最高値を更新中だったNYダウも、さすがに下落し、11営業日ぶりに前日比マイナスで引けています。

昨日の材料はほぼ北朝鮮に絞られます。北朝鮮は国連安保理での新たな制裁決議を非難し、「米国が北朝鮮国家と国民に対して犯した全ての許しがたい罪の代償として、わが国は米国に大きな犠牲を払わせるだろう」と、朝鮮中央通信を通じて声明を発表しました。

また、「われわれはいかなる条件下でも、決して核兵器と弾道ロケットを交渉議題にしない。米国の北朝鮮に対する敵対的な政策と核の脅しが基本的に撤回されない限り、われわれ自身が選んだ核戦力強化の道筋から少しでも外れることもないだろう」(ブルームバーグ)と、表明しました。

これに対して、トランプ大統領もこれまでにない口調で「米国に危機が及べば、北朝鮮は、世界がこれまで経験したことがない怒りと炎に見舞われるだろう」と述べ、さらに「何年にもわたる失敗を経て、北朝鮮がもたらす危険にようやく対応するために各国がまとまりつつある。われわれは厳しくゆるぎない態度を示さなければならない」とツイッターに投稿しています。

このように、これまで政治的な解決を含み、柔軟な対応を見せていた米国ですが、このままでは北朝鮮はミサイル発射をやめる見込みもなく、さらに圧力を強める必要があるという戦略に変わったのではないかとも思えます。これらの報道を受け、VIX指数(恐怖指数)もNYの午後には11%急伸しました。

ドル円は先週の雇用統計後に111円台まで上昇しましたが、再び110円割れを試す展開になっていると思われます。先週には何度か110円割れを示現しましたが、それでも109円台後半で踏み留まり、111円台に反発しました。今回109円台半ばを割り込むと、ドルの下値を探る動きがやや長期化することも考えられます。先週同様、粘り腰を見せることができるのかどうか注視したいと思います。


2017-08-09 09:42
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