【北京=高橋哲史】中国四川省アバ・チベット族チャン族自治州で8日夜にマグニチュード(M)7.0の地震が発生し、習近平国家主席はただちに被害の拡大を最小限に抑えるよう関係当局に指示した。

秋の共産党大会に向けて指導部の人事を話し合う重要会議のさなかだけに、対応のまずさを批判される事態を警戒しているもようだ。

地元政府によると、9日午後の時点で19人が死亡し、247人が負傷した。震源地は日本でも人気のある世界遺産の景勝地、九寨溝に近く、中国国営の新華社は「3万人以上の観光客が安全な場所に避難した」と報じた。日本人の被害情報は入っていない。

地震は8日午後9時(日本時間同10時)すぎに起きた。夜間で詳しい被害状況がなかなか伝わってこないなか、新華社は9日未明に「習主席はただちに重要指示を出し、観光客や被災者を避難させ、人的な被害を最大限減らすよう求めた」と速報した。

習氏ら党指導部メンバーのほとんどは、引退した長老らと党大会後の新体制を話し合うために河北省の保養地、北戴河に滞在しているとみられる。救出活動が遅れて被害が拡大すれば、指導部に批判の矛先が向かうのは避けられない。

習氏は「救難部隊を迅速に組織し、負傷者を全力で救出せよ」とも訴えた。

今回の被災地は、2008年5月に起きた四川大地震の震源地から200キロほどしか離れていない山間部だ。

死者・行方不明者がおよそ8万人に達した四川大地震の際はただちに当時の温家宝首相が現地入りし、陣頭指揮を執った。しかし、多くの人が倒壊した建物の下敷きになり、救助活動の遅れが犠牲者の拡大につながったとの指摘は多い。

08年の地震では多数の学校が倒壊し、子どもたちの犠牲も膨らんだ。母親らによる抗議活動が広がり、社会の不安定化につながった面もある。

今回の震源地は08年に比べ都市部から離れた人口の少ない地域で、犠牲者が大幅に膨らむとの見方は少ない。それでも党大会を控えた政治的に微妙な時期だけに、救助活動に抜かりがないよう念には念を入れる習指導部の姿勢がうかがえる。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM09H5M_Z00C17A8FF1000/


中国・四川省でM6.5の地震、100人死亡の恐れ

【8月9日 AFP】(更新、写真追加)中国南西部・四川(Sichuan)省の山岳地帯で8日午後9時20分(日本時間同10時20分)ごろ、マグニチュード(M)6.5の地震が発生し、少なくとも13人が死亡した。同国政府の推定によると、最大で100人が死亡した恐れがある。

米地質調査所(USGS)によると、震源地は同省成都(Chengdu)の北284キロで、震源の深さは10キロ。震源地となったアバ・チベット族チャン族自治州アバ(Aba)県の地元政府が発表した声明によると、これまでに13人が死亡。175人が負傷し、そのうち28人が重傷だという。

また国営新華社(Xinhua)通信は、被災した九寨溝(Jiuzhaigou)県では少なくとも観光客5人が死亡したと報じた。

中国の国家減災委員会(National Commission for Disaster Reduction)は公式ウェブサイトに投稿した声明で、被災地での2010年の国勢調査結果に基づき、死者は最大100人に上る可能性があると推計。初期分析結果として、住宅13万棟以上が損壊した恐れがあると発表した。

被災した九寨溝県には、国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の世界遺産(World Heritage)に登録され、中国有数の知名度を誇る国立公園がある。新華社によると九寨溝国立公園では地滑りにより観光客100人以上が孤立したものの、死傷者が出たとの情報はない。

http://www.afpbb.com/articles/-/3138600

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中国南西部・四川省九寨溝県で発生した地震の被害状況を写したとみられる写真。
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中国南西部・四川省の九寨溝県で、捜索活動を行う武装警察(2017年8月9日撮影)。