中国や台湾、朝鮮半島の原産で、環境省などの生態系被害防止外来種リストにも記載されている「クビアカツヤカミキリ」の成虫が県内で初めて、かつらぎ町内で捕獲された。

 人体に影響はないが、産み付けられた幼虫が梅や桃の樹木の内部を食い荒らし、枯死させてしまう。果樹王国の和歌山にとっては「天敵」で、県は農家に注意を呼びかけるなど警戒を強めている。

 県農業環境・鳥獣害対策室によると、クビアカツヤカミキリは7月31日、かつらぎ町妙寺の山林で、付近の農家の男性が駐車していた軽トラックに雄の成虫1匹が止まっているのを見つけた。

 翌日、伊都振興局の職員らが近隣の農地約1ヘクタールを調査したが、他に成虫は見つからず、幼虫が寄生している樹木付近に大量に発生するふんや木くずなども確認できなかった。

 クビアカツヤカミキリの成虫の体長は3〜4センチ。体全体は光沢のある黒で、胸部が赤いのが特徴だ。繁殖力が強く、成虫は樹木の幹や樹皮の割れ目などに産卵。

 卵は8〜9日後に孵化(ふか)し、幼虫は、そのまま樹木に寄生して1〜3年かけて成長する間に内部を食い荒らしてしまう。

 国内では平成24年に愛知県で初めて確認。大阪府でも27年に見つかった。桃や梅のほか、柿やザクロなど多くの樹種に寄生し、徳島県では桃畑が食い荒らされ、壊滅する被害があったという。

 多くの果物を生産する県では、警戒を強め、成虫は見つけ次第、駆除することを呼びかけているほか、農家などに幼虫のふんが樹木の周辺で確認された場合は指定された薬剤を散布することや木々に防虫ネットを巻き付け、成虫が他の樹木に移動するのを防ぐように求めている。

 同室の担当者は「発見した場合、最寄りの振興局やJAに連絡し、速やかに駆除してほしい」と話した。

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かつらぎ町で見つかったクビアカツヤカミキリ=(県提供)