小野寺五典防衛相は10日午前の衆院安全保障委員会で、北朝鮮の朝鮮人民軍戦略軍司令官が米領グアムの「包囲射撃」計画を表明したことについて「防衛省・自衛隊は、万が一のさまざまな事態に備え、日ごろからしっかりした態勢を整えている」と述べた。

民進党の玉木雄一郎幹事長代理の質問に答えた。

小野寺氏は、米国のティラーソン国務長官が外交的解決の優先を表明しているとも指摘し「ロシアや中国も参加した経済制裁の強化が決まっている。このメッセージを北朝鮮が受け止め、核・ミサイルや拉致問題を解決できるよう努力していきたい」と語った。

一方、香川県選出の玉木氏は、北朝鮮の司令官がミサイルについて島根、広島、高知3県の上空を通過すると予告したことに言及。

航空自衛隊の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)が中国・四国に配備されていないことを挙げて「明確に上空通過を明示しているのに空白地域なのは問題だ」と指摘し、PAC3の配置変更を小野寺氏に求めた。

これに対し、小野寺氏は「日本全国が安心できる態勢を構築したい」と述べるにとどめた。

http://www.sankei.com/politics/news/170810/plt1708100021-n1.html


【北ミサイル】グアム攻撃宣言で自治体困惑「どう対応すれば」 島根→広島→高知が上空通過*シ指し

「島根県、広島県、高知県の上空を通過することになる」。対北圧力を強めるトランプ米政権に対し、グアム島周辺への包囲射撃を検討すると威嚇に出た北朝鮮。

10日には朝鮮中央通信が日本の地名を挙げ、ミサイル発射計画の詳細を伝えた。半島情勢が一段と緊迫度を増す中、名指しされた形の各自治体や漁業関係者らの間には「どう対応すればいいのか」と不安と困惑が広がった。

島根県防災危機管理課では、消防庁への照会など朝から情報収集に追われた。担当者は「これから盆の連休に入り、人員も手薄になる一方で人の流れは増える。どのように身構えたらいいのか」と嘆息。

県内の市町村には改めて全国瞬時警報システム「Jアラート」の作動状況を確認するよう通知する方針で、「あらゆるチャンネルを使って注意を喚起するしかない」と気を引き締めた。

同じくミサイルが上空を通過するとされた広島県の危機管理担当者は「現段階では発射期間の通告もなく、十分な情報がない」と戸惑いを隠せない。

朝鮮人民軍は8月中旬までに計画をまとめたうえで、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の「命令を待つ」としているが、実際に動きがあるのかは未知数だ。当面できる措置として「情報収集」と何度も繰り返した。

一方、高知県漁業協同組合連合会の松沢英八郎参事(63)は「これまで高知の太平洋側に北朝鮮のミサイルが発射されることはなかったため、身近には感じていなかったのが正直なところ。どう指示をすればいいかも分からない」と不安がった。

松沢参事によれば、現在はカツオ漁の最盛期で、マグロ漁も始まったばかり。高知の漁業者は東西の広範囲の海で操業しているが、ミサイルがどの地点に落ちるか分からない以上、回避行動も取りようがない。

「生活のためにやっている漁業者がほとんどで、ミサイル発射で漁ができないとなると痛手は大きい。何の意味があるのか、怒りを覚える」と憤った。

高知と近い海域で漁業者が操業する和歌山県でも、北朝鮮の宣言を受けて緊張が高まった。県の防災担当者は「ミサイルはどこに落ちるのか分からない。警戒を強めたい」と語った。

http://www.sankei.com/west/news/170810/wst1708100041-n1.html
http://www.sankei.com/west/news/170810/wst1708100041-n2.html

>>2以降に続く)

http://www.sankei.com/images/news/170810/wst1708100041-p1.jpg
Jアラートや島根県総合防災情報システムを確認する職員=松江市の島根県庁
http://www.sankei.com/images/news/170810/wor1708100029-p2.jpg
火星12の発射計画(グアム沖へ
http://www.sankei.com/images/news/170810/wor1708100029-p1.jpg
大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星14」型の第2回試射=7月28日(朝鮮中央通信)