北朝鮮が「炎と怒り」に直面すると警告したトランプ米大統領の発言がグローバル市場を動揺させたが、戦争が起きれば世界経済そのものが揺らぐことになろう。

キャピタル・エコノミクスのアナリストは、スマホから自動車、薄型テレビに至るまであらゆる製品の生産と供給が大きな打撃を受けることで、世界各国・地域の成長が損なわれ、物価が上昇すると予測する。

韓国が電子機器の製造を支える部品のサプライチェーンに組み込まれていることがその理由だ。

韓国はテレビや電子機器用液晶ディスプレーの40%を製造する世界最大の生産国。スマホ向け半導体も世界2位で、市場シェアは17%を占める。世界有数の自動車メーカーや3大造船会社も韓国企業だ。

エコノミストのガレス・レザー氏とクリスタル・タン氏は「韓国の生産が戦争で大きな被害を被れば、世界中で不足が生じるだろう。供給の途絶はかなりの期間続くと予想される。半導体の生産拠点をゼロから開設しようとすれば2年程度はかかる」と指摘する。

海運会社にとってもリスクが存在する。世界最大の貿易国である中国の東岸沿いの主要海運ルートが使えなくなる公算が大きい。

キャピタル・エコノミクスは「コンテナ船が危険過ぎて中国の港を出入りできない状況になれば、グローバル経済にさらなる混乱を引き起こすだろう」と分析する。

さらに米国だけ見ても戦争に伴う重い財政負担を強いることになりかねず、戦費と復興費を賄うために連邦債務が押し上げられる可能性が高い。

朝鮮半島の復興でイラクやアフガニスタンに比例する支出を行った場合、米国の国家債務はさらに30%増えるとキャピタル・エコノミクスは推計している。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-08-10/OUGBKJ6K50XS01

http://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iwLzt2H4Hjqw/v2/-1x-1.png