世界的には、エイズウイルス(HIV)に新規感染するケースが減っているが、韓国国内ではHIV感染者と後天性免疫不全(AIDS、エイズ)の患者数がむしろ増えている。

HIVは、エイズを引き起こす原因となるウイルスで、HIVへの感染者のうち免疫体系が損傷、あるいは低下し、疾病にかかった人をエイズ患者という。

疾病管理本部は8月11日、「2016年 HIV/エイズ申告現況」を発表し「昨年新たにHIV、またはエイズに感染した人は1199人と集計され、増加傾向にある」と明らかにした。

特に新たな感染者は、男性(1105人)が女性(94人)の11.8倍で、国内の男性感染者の3人に1人(35.1%)は20代というのが特徴だ。

■「安全ではない性接触に」

国際エイズ合同計画(UNAIDS)の統計によると、全世界のHIV、エイズの新規感染者数(成人基準)は、2016年に170万人と10年(190万人)に比べて11%減った。海外の先進国の中でも減少基調へと転じた国は多い。

各国の感染状況などを見ると、2011年から15年にかけて日本(1529→1434人)、米国(4万4805→4万40人)では新規感染者が減った。

疾病管理本部は「全世界的にアフリカ地域は国際機関の治療剤普及などに伴い新規感染者が著しく減少しているほか、米国、日本、オーストラリアなどでも減少傾向にある」と説明した。

一方、韓国は逆に新規感染者数が増加する傾向にある。「HIV/エイズの申告現況年譜」によると、新規感染者数は2010年の837人から16年には1199人と43%増加した。

1985年に申告された感染者数はわずか2人だったが、2000年には244人になり、13年(1114人)からは毎年1000人を超えている。生存している累積感染者数も2015年に1万人を超え、今回公開された16年の統計値では1万1439人に上った。

■20代男性の感染、なぜ多いのか

新規感染者のうち男性が女性の約12倍で、男性感染者の35%が20代である理由について、医療界は「若い男性の性接触の頻度が高まったため」と分析した。

これに加え、「危険な」性接触が多く、HIV感染について検査する機会が増えたことから、「水面上」に現れた感染者が増えたことを原因として挙げた。

特に「同性間の性交渉で感染率が高まりを見せており、一部の同性愛者の間ではさまざまなパートナーと関係を持つといった問題がある」と指摘する。

セブランス病院感染内科のチェ・ジュンヨン教授は

「20代の男性感染者が増えているというのは、現在国内の同性愛者の間でHIVウイルスが勢力を拡大している可能性があるという話だ。若い感染者たちは、感染しているかどうかを自らチェックした後、病院を訪れるケースも多くなっている」という。

ただ「同性愛者がすなわちエイズ拡散の主犯」という点については今も議論が続いている。今回の保健当局の統計でも、新たな男性感染者のうち「異性との性接触」(355人)が原因となったケースが「同性との性接触」(325人)を上回っている。

保健当局は、HIVの感染予防事業を強化していく方針だ。HIVに感染した場合、まだ完治は困難ではあるものの、早期に発見すればするほど発病を先送りし、治療効果もあるためだ。

全国の保健所ではすでに1989年からHIV感染無料匿名検査が施行されているほか、病院や医院では有料の匿名検査が可能となっている。韓国エイズ退治連盟など民間団体では、エイズ関連の相談も受け付けている。

疾病管理本部の関係者は「米国で開発された『ツルバダ(Truvada)』というHIV治療剤は、性接触前の予防薬としても使用されている。韓国でも、こうした予防薬を取り入れる方向で検討中」と話した。

キム・ソンモ記者

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