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2017/08/30(水) 00:23:44.63ID:CAP_USER途中ミサイルは3つに分離し、それぞれはほぼ同海域に落下している。飛翔距離は約2700km、到達高度は550km。日本政府は、北朝鮮が5月14日に発射したIRBM「火星12型」である可能性が考えられるとしている。
IRBMが日本に与える脅威は小さい
様々な観測と、高まる脅威が語られている。それを否定するものではないが、このコラムではあくまで、現時点で分かっている事実(もちろん調査が進んだ後、修正されることもあり得る)に立脚して、今回のミサイルの日本上空通過にどのような意味があるのかを考えてみよう。
まず押さえておくべきは、今回のような軌道でIRBMが発射された場合、日本への被害はゼロか、あったとしてもごく軽微ということだ。
ミサイルは日本領空通過前に、高度100km以上の宇宙空間に出てしまう。今回の場合、襟裳岬上空で最高到達高度550kmになったということだ。もちろん勢いがあるからまっすぐ直下の日本に落ちてくることもない。
日本に被害が及ぶとすれば、発射後の早い段階の加速途中でエンジンが停止したり爆発を起こしたりして、本体、あるいは破片が日本に降ってくる場合だけである。日本と北朝鮮は、IRBMを使うには近すぎるのだ。日本にとっての現実的な脅威は、より射程の短いミサイルの「ノドン」なのである。
発射地の順安は平壌北方の平壌国際空港があるあたりなので、仮に発射地を平壌国際空港として、襟裳岬上空を通過したとすると2700kmを飛んだことになる。日本政府は「渡島半島上空を通過」と発表した。津軽海峡の上空を狙ったような軌道だ。
この経路は、「日本への刺激を最小限にするために、陸上を避け、津軽海峡を飛ばした」と見ることができる。実際、北朝鮮が、日本への示威行為を目的とするならばIRBMを使う意義は薄い。より直接的なノドンを使うべきなのである。
米国へのエスカレーション戦略の道具
また、今回の目的は、技術試験目的とも考えにくい。太平洋上の公海への弾着でデータを取るには、弾頭に装備した計測機器からの通信を受信するために船舶を太平洋上の公海に派遣しなくてはならず、手間がかかる。
5月14日に発射した火星12型は、高度2111kmまで上昇し、水平距離787kmを飛んで日本海に落下した。射程を短くしてその分高く上げる「ロフテッド軌道」という軌道への打ち上げである。
この打ち上げならば、データの受信に朝鮮半島東岸の陸上施設が使えるので、技術試験には好適である。また、ロフテッド軌道打ち上げの結果から、最大射程も計算可能なので、あらためて射程を確認するために太平洋にミサイルを撃ち込む意味は小さい。
このように考えると、今回の発射は、米国を対象としたエスカレーション戦略の一環と見るべきだろう。北朝鮮は、8月9日に米軍基地のあるグアムに向けてのミサイル発射を示唆する声明を出している。その緊張感の演出=エスカレーションの段階を刻むために、いきなりのグアム近海への着弾を避けたのではないだろうか。
ちなみに平壌国際空港からグアムまでの距離は約3400km。火星12型は4000〜5000km程度の射程があると推定されている。なぜ、飛距離が2700kmに留まったのか、その理由は不明だが、推測するなら、飛行途中でミサイルにトラブルが起きた可能性もあるし、エスカレーションの段階を刻むために、搭載推進剤をわざと減らしたのかもしれない。
今回の軌道をそのまま射程5000kmまで延ばすとミッドウエー島北方500km付近の海域となり、7000kmまで延ばすとハワイ諸島北方1000km付近の海域となる。エスカレーション戦略の中で、今後も北朝鮮がこの軌道を使用する可能性は十分にあるだろう。
もうひとつ注目されるのは、ミサイルが上昇途中、高度100km付近で3つに分解し、3つともほぼ同海域に落下したことだ。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/217467/082900050/
(>>2以降に続く)