北朝鮮が中距離弾道ミサイル(IRBM)を発射した29日、韓国大統領府(青瓦台)は「北朝鮮の挑発は非常にきびしい」とコメントしつつも、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が主催する国家安全保障会議(NSC)全体会議は開かなかった。韓米首脳間の電話協議も進めなかった。

韓国軍は、通常爆弾の投下訓練を行って「強力な北朝鮮懲らしめの能力」を示したと自ら評し、一方で統一部(省に相当)は南北経済協力の基盤づくりのための予算を78%増やした来年度予算案を発表した。外交・安全保障の専門家らは「政府のメッセージが一貫しておらず、なにか右往左往しているような様子」と語った。

(1)文大統領、NSCを主催せず

29日午前、国務会議(閣議に相当)を主催した李洛淵(イ・ナクヨン)首相は「これまでのミサイル挑発とは次元が異なる、重大な挑発」と語った。大統領府の尹永燦(ユン・ヨンチャン)国民疎通首席も「北朝鮮の挑発は非常にきびしいと評価している」と語った。

しかし肝心の大統領は、NSCに出席しなかった。鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長が主催するNSC常任委会議だけが開催された。文大統領は29日午前9時、いつも開いている「主要参謀対策報告会議」で、結果だけ報告を受けた。

これについて、大統領府の中心的関係者は「(NSC主催は)状況に応じて行うもの。大統領は報告を受け、対応を取るよう指示した」と語った。

しかし、こうした説明は前例とも合致しない。文大統領が初めてNSCを主催したのは、北朝鮮が29日と同じIRBM「火星12」を発射した、今年5月14日のことだった。北朝鮮が地対艦巡航ミサイルを発射した6月8日と、大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星14」を発射した7月4日および28日には、大統領主催のNSC全体会議が開かれた。

(2)「ダム・ボム」で「強力な懲らしめ」?

そのかわり文大統領は29日「強力な北朝鮮懲らしめの能力を誇示せよ」と韓国軍に指示した。この指示に基づき、空軍は午前9時30分ごろ、F15K戦闘機4機を出撃させてMk84爆弾8発を江原道寧越郡の必勝射撃場に投下した。Mk84は重さが1トンほどあり、威力は強い方だが、精度は大幅に落ちる。誘導機能がないからだ。北朝鮮軍首脳部の地下バンカー(掩蔽壕〈えんぺいごう〉)を破壊する「バンカーバスター」でもない。核抑止力とはかなり隔たりがある。

韓国軍では、Mk84を「間抜けな爆弾」(ダム・ボム)と呼ぶ。韓国軍の元将官は「北は戦争の構図を変えられる戦略兵器を誇示しているのに、韓国はベトナム戦争で使っていた通常兵器で対応して、金正恩(キム・ジョンウン)が脅威を感じるだろうか。Mk84に誘導装置を取り付けて精度を高めたGBU31という統合直接攻撃弾(JDAM)もあるのに、なぜそれを使わなかったのか分からない」と語った。


2017/08/30 09:00
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