北朝鮮が中距離弾道ミサイル(IRBM)「火星12」を発射したことに対応して、米国は8月31日午後、B1B戦略爆撃機「ランサー」2機と最新鋭のF35Bステルス戦闘機4機を韓半島(朝鮮半島)へ派遣し、江原道で爆弾投下訓練(計18発)を実施した。米国がB1B爆撃機とF35Bステルス戦闘機を同時に韓半島へ派遣するのは初めて。

これらの機体が、単に飛行するだけにとどまらず精密誘導爆弾の投下まで実際に行ったのは、米国が北朝鮮に対し「軍事行動」を強化するというシグナルだと解釈されている。また、韓米の国防トップが8月30日(現地時間)、米国ワシントンで開かれた国防長官会談で、こうした米国戦略部隊のローテーション配置および常時配置の問題について議論したことを韓国国防部(省に相当)が明らかにした。

■米国の戦略部隊をローテーションで常時配置

韓国空軍の関係者は31日、「グアムを出撃した米B1B爆撃機2機と岩国基地を出撃したF35B戦闘機4機が、韓国空軍のF15K戦闘機の編隊と共に飛行訓練を行い、江原道の必勝射撃場で北朝鮮の重要施設を精密攻撃する空対地攻撃訓練を行った」と語った。また、米空軍のKC135空中給油機も共に韓半島上空へ出動した。

韓米両国空軍の爆撃機・戦闘機は、Mk84・Mk82などの通常爆弾(14発)と共に、衛星利用測位システム(GPS)で誘導される精密誘導爆弾GBU32統合直接攻撃弾(JDAM)4発を、北朝鮮の目標を想定した標的に投下した。F35Bは戦略兵器ではないが、北朝鮮のレーダー網に捉えられることなく金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長の主席宮などを精密攻撃することができ、金委員長が最も恐れる兵器の一つに挙げられる。

31日に実施されたB1BとF35Bの初の同時展開に続いて、原子力潜水艦、原子力空母など米国の戦略部隊の韓半島出動が行われるものとみられる。北朝鮮による相次ぐミサイル発射に対する武力の誇示という性格とともに、北朝鮮が政権樹立記念日(9月9日)前後に6回目の核実験や大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射など、さらなる挑発に出ることを抑制しようとする狙いもある。

■原潜建造なども米国と協議

韓国時間で31日の早朝に米国ワシントンで開かれた韓米国防長官会談では、韓国国防部の宋永武(ソン・ヨンム)長官が、米原潜の韓半島配置のほか韓国独自の原潜導入の必要性についても原則論的な言及を行ったと伝えられている。また韓米ミサイル指針改正の論議に関して、宋長官は「弾頭の能力を標的に合わせて開発すべきだということで米国側と意見が一致し、コンセンサスができた」と伝えた。

これとともに宋長官は「国防改革完了時に統制権(戦時作戦統制権)問題は(韓国軍へ)移管すべきではないかと言い、マティス国防長官も私の考えに協力する意向を明らかにした」と語った。これは、国防改革が完了する文在寅(ムン・ジェイン)政権の任期中(2022年)に、できるだけ統制権移管を推進したいという意味だと解されている。

■大統領府「戦術核再配備計画はない」

一方で宋長官が31日、米国側との協議で戦術核再配備に触れたことをめぐっては、韓国内外で異例のことと受け止められた。韓国の文在寅大統領が直接「戦術核を再配備したら、北朝鮮に核廃棄を要求する名分がなくなる」として反対の立場を表明していた事案だからだ。韓国大統領府(青瓦台)の関係者は、31日も同様の趣旨で「計画は全くない」と語った。

しかし韓国政界や学界の一部では、北朝鮮の核能力はもはや挽回し難いとみられるほどに高度化していることから、戦術核再配備は避けられないという見方も広がっている。「『韓半島非核化』という名分も重要だが、北朝鮮が核兵器を完成させて放棄する可能性が完全に消えてしまったら、それに対する現実的対応手段として韓国も核兵器を持っておくべきではないか」というわけだ。

宋長官は、米国側にこうした意見を伝え、北朝鮮の核問題解決をめぐる米国の意志と「拡大抑止」提供の約束はそれだけ重要であるという点を強調するため、戦術核再配備に言及したものとみられる。

ユ・ヨンウォン記者 , 金真明(キム・ジンミョン)記者

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