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2017/09/01(金) 12:28:59.74ID:CAP_USER文書は、昨年夏ごろに秘密警察の国家保衛省が平安南道(ピョンアンナムド)の中規模都市で開いた住民向け講演を記録したもので、同年5月までにこの都市と周辺地域の密売人500人を芋づる式に摘発したと説明。その中心には「党や司法機関で責任ある地位にいる家族や親族が多数いた」と明らかにしているという。
子供たちまで
北朝鮮における薬物汚染の実態は、久しく前から伝えられてきた。そこにエリートが関わっていることも周知の事実である。
例えば2007年2月、咸鏡北道(ハムギョンブクト)の会寧(フェリョン)では、現職の市の女性同盟委員長一家が薬物組織を運営していたことが明らかになり、大騒ぎになった。地域の女性同盟のトップと言えば、北朝鮮の普通の女性が努力して上り詰めることのできる、最高位の役職である。
この事件を受け、道保衛局の要員20人余りが同委員長のマンションで家宅捜索を行い、覚せい剤15キロ、現金30万ドルと20万人民元を現場で押収した。地元の情報筋は、事件の内幕を次のように伝えている。
「委員長の夫のK氏は、貿易会社のメボン会社に努めていた頃から、覚せい剤の密売に手を出していた。会社がなくなってからは、専属運転手だったL氏を運び屋、娘のK氏を会計担当にして、茂山(ムサン)、会寧、穏城(オンソン)など、国境地域の密輸業者に覚せい剤を卸すビジネスに乗り出した。
ところが、L氏が品物をくすねたといってトラブルが生じた。L氏は、清津(チョンジン)にある道保衛局を尋ねて、委員長の家族の覚せい剤取引の事実を語った。清津まで行ったのは、地元の保衛部は委員長とツーカーなので、チクったら命はないということがわかっていたからだろう」
毎日新聞が入手した文書は、こうした情報を北朝鮮の公的資料として裏付けるもので、非常に興味深い。
しかし、北朝鮮における薬物汚染の実態は、ここで語られているよりさらに進んでしまっているのが実情なのだ。
薬物汚染は、すでに子供たちにまで広がってしまっている。
それだけではない。国際社会の監視強化を受け、北朝鮮が手控えるようになっていた海外への密輸が、再び活性化しているとの情報があるのだ。
今のところ、北朝鮮製の覚せい剤が日本に流入しているとの情報はない。しかし、覚せい剤の大量消費国である日本に、北朝鮮からの新たな密輸ルートが開かれないとも限らないだろう。
覚せい剤密輸が再開された背景には経済制裁による苦境があるというが、こうした事態は十分に予想しえたことだ。日本の当局は、いっそう厳重な監視に取り組むべきだろう。
高英起
北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。関西大学経済学部卒業。98年から99年まで中国吉林省延辺大学に留学し、北朝鮮難民「脱北者」の現状や、北朝鮮内部情報を発信するが、北朝鮮当局の逆鱗に触れ、二度の指名手配を受ける。雑誌、週刊誌への執筆、テレビやラジオのコメンテーターも務める。
主な著作に『コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記―』(新潮社)『金正恩核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』(宝島社)『北朝鮮ポップスの世界』(共著)(花伝社)など。近著に『脱北者が明かす北朝鮮』(宝島社)。
https://news.yahoo.co.jp/byline/kohyoungki/20170901-00075235/