【北京=西見由章】北朝鮮が核実験を行った3日、核実験場のある咸鏡北道と接する中国吉林省延辺朝鮮族自治州では広範囲にわたって揺れが発生し、住民らが建物の外に避難した。

北朝鮮・豊渓里の実験場から約200キロ離れた同州延吉に住む男性会社員(30)は産経新聞の電話取材に「自室にいたが、30秒近く揺れを感じた」と話した。「みな建物の外に飛び出した。慌てて服を着ないまま逃げてきた子供もいた」といい、「過去の(北朝鮮による核実験で起きた)揺れよりも激しかった」と強調した。

同州琿春の男性(38)も「家が揺れた。国境近くはもっと強く揺れたはずだ」と話した。

中国のインターネット上では、吉林省のほか隣接する遼寧省でも揺れを感じたとの書き込みが相次いだ。

「すぐに建物から飛び出した。祖国は庶民の平穏な生活を守ってくれるのか」と当局への不信感をにじませた声のほか、「核汚染」を懸念する意見も。「金家を滅ぼせ」「野放しにするのは一種の犯罪だ」と北朝鮮への強硬な対応を求めるユーザーも目立った。

中国当局は国境地帯で放射線量の監視にあたっているもようだ。

http://www.sankei.com/world/news/170903/wor1709030044-n1.html


【北朝鮮核実験】韓国に緊張感なし「またやったか」 政府発表も後手

【ソウル=名村隆寛】北朝鮮が6回目の核実験を行った3日、韓国社会は初秋の休日ムード一色で緊張感はほとんど感じられなかった。

核実験に関する情報が出始めた午後0時45分ごろ、ニュース専門テレビYTNは、市民が行楽を楽しむ花畑からの中継の最中だった。その途中に「北朝鮮で人工的な地震観測」との第一報を字幕で伝えたが、のんびりした現場中継はそのまま続けられた。

歩行者天国となったソウル中心部は市民でにぎわった。核実験の情報が知らされても、危機感や緊張感とはほど遠く、いつもの日曜日と同じ雰囲気が漂った。

一方、インターネット上での市民の反応は速かった。ただ、ネットへの書き込み内容は「北がまたやったんだってさ」といった人ごとのような意見が多かった。

韓国政府の対応の遅れも目立った。日本では3日、安倍晋三首相自らが、国家安全保障会議(NSC)関係閣僚会合を前に官邸で、北朝鮮による核実験強行の可能性があることを記者団に語ったが、この時点で韓国政府からの公式発表はなし。

日本政府のNSC終了後に「北朝鮮が核実験を行ったと断定する」と河野太郎外相が記者団に語った内容を聯合ニュースが速報するというありさまだった。

韓国政府は文在寅(ムン・ジェイン)大統領を筆頭に、国民に不安感を与えないように注意を払っているという。しかし、一部の韓国メディアは、文在寅政権の危機への対応を日本と比較し、批判を強めている。

先月29日に北朝鮮が弾道ミサイルを発射した際の情報も、韓国よりも日本が速く正確で、韓国メディアの伝えた速報の大半は東京発のものだった。

この時、韓国メディアの大半が「迅速で正確な対応」と日本政府の対処を評価する一方、韓国政府の対応の鈍さについては「3時間も迷った」「悲しくなる」と問題視した。

http://www.sankei.com/world/news/170903/wor1709030047-n1.html

http://www.sankei.com/images/news/170903/wor1709030044-p1.jpg
中国吉林省延吉市で、揺れを感じて屋外に避難し、スマートフォンを見る市民ら=3日(共同)
http://www.sankei.com/images/news/170903/wor1709030047-p1.jpg
3日、ソウルの鉄道駅で、北朝鮮の核実験実施を伝えるニュースを見る男性(AP)
http://www.sankei.com/images/news/170903/wor1709030047-p2.jpg