【社説】韓国国民の安全は眼中にない大国・中ロの傲慢

 北朝鮮による6回目の核実験で北東アジアの安全保障が揺らぐ中、6日に韓ロ首脳会談が行われた。ロシアは北朝鮮に対する制裁措置で残された「原油供給中断」を実行する鍵を握った国だ。米国の圧力で中国がパイプラインを閉めたとしても、ロシアが供給を続ければ意味がない。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は「北朝鮮に対する原油供給中断はやむを得ない」とロシアに協力を求めた。これに対し、ロシアのプーチン大統領は「原油供給中断が北朝鮮の民間に被害を与えることを懸念する」として、事実上拒否した。北朝鮮の民間に石油がなくなることで生じる被害は心配するのに、韓国国民5000万人が直面する死の恐怖は知らないというわけだ。予想していたことだが、憤りを禁じ得ない。

 国連安全保障理事会は11日、原油の禁輸など北朝鮮に対する追加制裁案の採決を控えている。中ロの態度が鍵だ。ロシアと同様に中国も消極的だ。米国のセカンダリーボイコット(北朝鮮と取引を行う第3国の企業・個人に対する制裁)を意識した中国が原油供給の上限や期間を定め、部分的に供給を中断するといった妥協が図られるとの観測もある。誠意を示すという意味で、数カ月だけ供給中断のふりをするのではないかとの見方だ。金正恩(キム・ジョンウン)氏が核を放棄するどころか、国連制裁は役に立たないという認識だけが定着するだろう。

 大国はいかなる地域問題についても、それを大国間のゲームとしてとらえる。彼らにとっては北朝鮮の核問題そのものではなく、それによって米国、中国、ロシアによる覇権争いがどうなり、米ロ間の国際政治にどんな影響が及ぶかが重要だ。韓国国民の安全は眼中にない。中国が「北朝鮮の核をなくすために北朝鮮の政権を崩壊させることはない」との原則を定めたのもそのためだ。ロシアも米国とのゲームで北朝鮮というカードを放棄する考えはない。金正恩氏はそうした事実を最大限活用している。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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