国連安全保障理事会で11日に採択された制裁決議に対し、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長率いる北朝鮮が猛反発している。弾道ミサイルの発射など、さらなる暴発に出る兆候があるのだ。

一方、ドナルド・トランプ米政権は新たな単独制裁を準備している。正恩体制を「無力化」するため、取引のある中国金融機関やエネルギー関連企業に二次的制裁を行い、「兵糧攻め」を徹底する考えとみられる。

「全面的に排撃する」

北朝鮮外務省は13日、国連安保理が採択した制裁決議を非難する「報道」を発表した。

北朝鮮の韓大成(ハン・デソン)駐ジュネーブ国際機関代表部大使も前日、「最終的な手段で米国にかつてない苦痛を与える用意がある」と、ジュネーブ軍縮会議の全体会合で演説した。

「全面的に排撃」「かつてない苦痛」とは尋常ではない。米韓両軍は現に、北朝鮮のミサイル発射がいつでも可能な状態にあると分析している。

北朝鮮が7月に2回発射したICBM(大陸間弾道ミサイル)「火星14」を、通常角度で発射し日本上空を通過させる可能性が現実視されている。さらに、SLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)「北極星3」や、火星14より射程が長い可能性がある3段式の「火星13」など、新型ミサイル発射の可能性もある。

日本政府関係者によると、弾道ミサイル観測能力を持つ米軍の電子偵察機RC135S(通称コブラボール)が12日、米軍嘉手納基地(沖縄県)を離陸した。北朝鮮のミサイル発射に備え、情報収集を活発化させているとみられている。

北朝鮮の暴発を防ぐため、トランプ政権は、国連安保理の制裁決議の完全履行を各国に求める方針だが、中国が協力するかは不透明で、米国独自の制裁強化を模索する動きが強まっている。

スティーブン・ムニューシン財務長官は12日、制裁決議を履行しなければ「中国に新たな制裁を科し、米国と世界の金融システムから締め出す措置を取る」と言明した。米議会には、中国農業銀行などの主要銀行を狙った二次的制裁を求める意見がある。

国際社会の措置にことごとく反発する北朝鮮だが、いつまで強がりを続けられるのか。

http://www.zakzak.co.jp/soc/news/170914/soc1709140008-n1.html


北メディア「奇襲発射でアメリカ帝国を火の海に」

北朝鮮の朝鮮労働党機関紙・労働新聞は15日、署名入りの論説で 「アメリカ帝国を火の海に作れる」と主張した。同日、朝鮮中央通信が伝えた。

論説は、「朝鮮の強大無比の総合的国力と潜在力を誰も無視できなくなり、アジアと世界の平和に大きな影響力を行使する責任ある核保有国としての戦略的地位はこれ以上逆戻りさせられないものになった」と述べた。

また、「また、米国が追随勢力と有象無象を総動員して白昼強盗さながらの対朝鮮『制裁決議』をまたもやつくり上げてなにか大きなことでもやり遂げたかのように威張り散らすが、それは虚勢にすぎない」と指摘した。

さらに、「われわれは二度の大陸間弾道ロケット試射の成功で米本土全域を打撃圏内に入れており、任意の地域と場所で不意の奇襲発射でアメリカ帝国を火の海に作れるということをはっきりと示した」と強調した。

その上で、「米国のいかなる手段と方法も、われわれには絶対に通じない。米国の運命は、われわれの手に確固と握られている」と主張した。

http://www.zakzak.co.jp/soc/news/170917/soc1709170010-n1.html

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