【ソウル=山田健一】韓国政府は21日、北朝鮮に人道支援を実施するかどうかを決める南北交流協力推進協議会を開き、国連の機関を通じて800万ドル(約8億9千万円)相当の支援を実施すると決めた。だが、支援の時期は、今後の南北関係を注視しながら改めて議論するとした。時期を先送りし、北朝鮮への支援に懐疑的な一部の国内や海外の意見に配慮したとみられる。

 韓国統一省によると、国連児童基金(ユニセフ)に350万ドル、世界食糧計画(WFP)に450万ドルの供与を決めた。

 同省の関係者は21日「実際の支援の時期と規模は、南北関係など環境を総合的に判断して決める」と述べた。児童や妊婦を対象とするワクチン、医薬品、栄養支援事業を念頭に置いている。

 韓国政府は「人道支援は政治的状況と関係なく進めていくのが基本的な立場」と説明する。北朝鮮への圧力を強める国際社会の足並みを乱すことはないとの認識も示すが、国連安全保障理事会で北朝鮮制裁決議を採択した直後だけに一部に慎重論がある。

 韓国政府は14日に支援方針を発表し、21日の協議会で正式に決定する予定だった。

2017/9/21 11:42 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXLASGM21H0U_R20C17A9EAF000/