韓国国民でさえ現地の競技場で観戦したい割合が7.1%しかない平昌五輪。チケットの売れ行きも不振で、このままでは開催成功も覚束ない。そんな危機的状況で、冬季五輪の花形競技、フィギュアスケートで韓国の男子シングルとアイスダンスが最終選考会でやっと出場枠(各1)を獲得した。

今年3〜4月開催の世界選手権で女子シングルが2枠を確保しており、開催国としてどうにか“体裁”を整えた格好だ。しかし、平昌五輪で目標とするメダル20個(金8・銀4・銅8)への貢献は未知数。中央日報は「韓国フィギュアは平昌五輪で主人公になれるのか」と報じるが、実は、これまで国際大会で結果を残せていない。

というのも、韓国でフィギュアスケートは2010年バンクーバー五輪で金メダルを獲得したキム・ヨナ(27)が登場するまで国際的に活躍する選手を輩出できず「不毛」な競技とまで評されてきた。

今回の男子、アイスダンスの五輪出場決定が2002年ソルトレークシティー五輪以来、16年ぶりになったことでもうかがえる。2006年トリノ五輪ではフィギュア競技に選手を送り出せていない。キム・ヨナは突出した高い個人能力の結果だと批評され、練習リンクも十分に整備されていない貧弱な練習環境が指摘されたほどだ。

韓国内では平昌五輪を控え、活躍できる選手がなかなか出てこないことからインターネット上では、2014年ソチ五輪限りで引退したキム・ヨナの現役復帰を念願する書き込みがなされ続けたほどだ。

フィギュアスケートはソチ五輪後、開催国の自動出場権が廃止された。開催国でも選考会で出場枠を獲得しなければならなくなった。今年3〜4月の世界選手権で全30枠のうち24枠が付与された。日本はシングルで男子3、女子2を出場枠を確保した。

しかし、韓国は女子のチェ・ダビン(17)が191.11点で10位に入って2枠を得ただけで、男子、アイスダンス、ペアの3種目で出場権を逃し自国選手の出場しない「他人の祭り」(朝鮮日報)になる危険性があった。

9月27〜30日に行われた国際スケート連盟(ISU)ネーベルホルン杯が最後のチャンスだった。基本的に男女シングルで各6枠、アイスダンス5枠、ベア4枠の出場権が懸かっていた。

男子で20歳のイ・ジュンヒョンが222.89点で5位に入り、出場枠を獲得。アイスダンスのミン・ユラ(22)、アレクサンダー・ガメリン(24)組が143.80点の4位で出場枠を得た。日本はアイスダンスで村元哉中(かな)、クリス・リード組が159.30点の2位で出場枠を獲得した。

ハンギョレ新聞によると、韓国スケート連盟は今回の成果を「2011年の平昌五輪開催決定後の体系的な投資の結果」と評価したという。そして、1997年から20年間、韓国スケート連盟の会長職を担うサムスンの「役割が大きかった」と評した。

出場枠を確保したからといって、安堵してはいられない。今年12月〜来年1月に予定される2、3次国内選抜戦を経て五輪代表が決まる。

9月14日に発表された平昌五輪のフィギュアスケートの日程では、午前10時〜午後2時台の実施が決まった。巨額の放映権を払う米国のテレビ局に配慮したとみられている。この時間帯は米国の東部時間で午後8時。米国で人気が高く、高視聴率が見込めるフィギュアスケートを夜のプライムタイムに放送できることになる。

平昌五輪の1次チケット販売で総販売目標枚数107万枚の21.5%にとどまった。その中で、フィギュアのチケットは完売。オンラインで行われた9月5日の2次販売初日には約2000枚が売れるなど「最も人気があった」(中央日報)という。

自国民の成績が芳しくなくとも、各国の有力選手の金メダル争いでチケットの売り上げが活況ならば、フィギュアは興行的に不振な平昌五輪の救世主になれるのだろう。

http://www.sankei.com/premium/news/171020/prm1710200005-n1.html

http://www.sankei.com/images/news/171020/prm1710200005-p1.jpg
2枠の平昌五輪出場枠をもたらしたチェ・ダビンだが、10月のフィンランディア杯では9位と低迷した(AP)