今年2月、韓国政府の要請で米軍の新型迎撃ミサイルTHAAD(サード)の配備に必要な土地提供を余儀なくされたロッテグループには、懐疑的になるべき十分な理由があった。

南部星州郡に所有していたゴルフ場を提供し、代わりにソウル近郊の土地を受け取る取引に渋々同意してからわずか8カ月で、同社が10年かけて取り組んできた中国進出戦略はガタガタになり、今後の事業成長見通しにも疑問符が投げかけられている。

小売から化学製品まで幅広いビジネスを手掛けるこの巨大複合企業は、THAAD配備を巡る中韓両国の外交対立によって、最も甚大な被害を被った企業となった。

ゴルフ場提供を受けて中国では商品ボイコットが発生し、ロッテは同国に築いたスーパーマーケット事業を、投資額の何分の1となる金額で売却する羽目に陥ると見られている。

中国での巨大ショッピングセンター建設計画も延期となった。その一方で、アイスクリームから観光まで、気前のいい中国人観光客への依存を高めていた韓国国内におけるビジネスも苦戦を強いられている、と政府関係者や投資家は指摘する。

韓国第5位の大複合企業体であるロッテは現在、インドやミャンマーを含めた新興市場で、食品企業などの新たな買収先を探している、と同社幹部は語った。

とはいえ、投資家や企業専門家は、中国やかつて中国市場に抱いた将来性を、他の市場で穴埋めすることは至難の業だと述べる。

「ロッテには痛い一撃だ」。ソウルを拠点とする企業調査会社CEOスコアのPark Ju-gun氏はそう語る。「ロッテグループは、戦略を練り直す必要がある。東南アジア向けの積極投資でやり過ごせる部分もあるだろうが、小売り企業にとって、中国は他の市場をもって代えがたい存在だ」

<「ノー」と言えない>

別のロッテ幹部は、グループ売上の4分の1を占める化学製品部門を強化する方針だと言う。

https://jp.reuters.com/article/lotte-china-idJPKBN1CU0P0

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