ベトナムで11月10−11日の日程で開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の前に、米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」が韓国に配備されたことに伴う対立を解消するため、韓国政府と中国政府は今も調整を続けていることが分かった。早ければ今週中にも結果が出る見通しだという。この問題である程度決着をつけておかないと、首脳会談が実現したとしてもギクシャクした雰囲気は解消されないからだ。またもし決着がつけば、昨年7月に韓国と米国がTHAAD配備を正式に発表して以来続いている中国によるTHAAD報復も終わる見通しだ。

 この交渉と関連して「韓国は中国への事実上の謝罪に応じるのでは」といった懸念もあったが、言うまでもなくそのような事態は絶対にあってはならない。しかし近視眼的な観点から対立の解消ばかりにこだわったり、あるいはこれを韓国国内向けに一種の政治的な実績として宣伝するため早急に交渉を進めたりした場合、非常に深刻かつあしき前例が残る可能性も排除できない。もし国の正当な主権を侵害する内容が今回の交渉で少しでも話し合われていれば、国民も中国との合意に納得しないはずだ。

 THAADは北朝鮮の核とミサイルの脅威に備えるため配備されたものだ。ところが中国は「北朝鮮政権の崩壊よりも北朝鮮による核武装の方がまだまし」と考えている。だとすれば韓国におけるTHAAD配備は中国自ら招いたと言っても過言ではない。中国がもし北朝鮮政権を崩壊に追い込むほどの厳しい制裁を北朝鮮に加えれば、核問題は間違いなく解決しTHAADも撤収されるだろう。しかし中国にそのつもりがないのなら、韓国におけるTHAAD配備に文句を言う筋合いは一切ない。

 今年は韓国と中国が国交を樹立して25周年となる節目の年だ。ところが中国側はなんら根拠がない非常に暴力的で稚拙な経済報復、あるいは交流の一方的断絶を今も続けており、影響で両国関係は今年になって国交樹立以来最悪の状態が続いている。中国は韓国に対し、主権国家としての地位を守るための軍事的対応をやめるよう一方的に強要する覇権的な態度を取っており、また民間企業による合法的な営業活動を露骨に妨害するなど、国際社会における常識と大きく懸け離れた行動を今も取っている。韓国国民も中国がいかに無道で暴力的な国であるかを改めて実感したはずだが、この点だけはある意味不幸中の幸いと言えるかもしれない。

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